御心底か一寸只今気を引いた処、どうもお隅様の御心底是には実に恐れ入りました、富五郎安心しましたが、処をどうも薪《まき》でもってポンと頭をどうも情《なさけ》ない思召しと思う」
 母「あゝ云う言抜《いいぬけ》を吐《こ》きゃアがる、気い引《ひい》て見たなどゝ猶更置く事は出来ねえから出て行け」
 隅「お母様お腹立でございましょう、御気性だから、富さん、お前は酒が悪いよ、お酒さえ慎めば宜しい、旦那様のお耳に入れない様にするから」
 富「エ、もう飲みませんとも」
 母「まアお前|彼方《そっち》へ引込《ひきこ》んで、私《わし》が勘弁出来ぬ、本当なればお隅が先へ立って追出すというが当然《あたりまい》だが、こういう優しげな気性だから勘弁というお隅の心根エ聞けば、一度は許すが、今度|彼様《あんな》挙動《まね》エすれば直《す》ぐ追出すからそう思え」
 富「恐入りました」
 と是からこそ/\部屋へ這入って、と見ると頭に血が染《にじ》みました。
 富「お隅は万更《まんざら》でもねえ了簡であるのに、あゝ太《ふて》え婆アだ」
 なに自分が太い癖に何卒《どうか》してお隅を手に入れ様と思ううち、ふと思い出して胸へ浮んだ
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