分じゃア法が付かねえ、私の様な大きな野郎が手を突いてのお頼みだね、此の身体を打毀《ぶっこわ》して薪《まき》にしても一分や二分のものはあらアね、馬の腹掛を着て頼むのだから、お前さん三拾両貸して呉れても宜《よ》かろうと思う」
 賤「何が宜《い》いのだえ、何が宜いのだよ、何もお前さん方に三拾両の四拾両のと借りられる縁が有りません、悪い事をした覚えは有りません、博奕の宿や地獄の宿はしませんから貸されませんよ」
 甚「じゃア何《ど》う有ってもいけねえのかえ」
 賤「帰ってお呉んなさい」
 甚「そうか無理にお借り申そうという訳じゃアねえ、じゃア帰《けえ》りましょう、新吉黙って引込《ひっこ》んで居るなえ此処《こゝ》へ出ろ、借りて呉れ、ヤイ」
 新「其様《そん》な大きな声をしてはいけねえやな兄《あんに》い仕方がねえな、お賤さん仕方がねえ貸しねえ」
 賤「何《なん》だえ、お前さんは心易《こゝろやす》いか知りませんが、私は存じません、何様《どん》な事が有っても出来ませんよ、帰ってお呉んなさい」
 甚「何《ど》う有っても貸せねえってものア無理にゃア借りねえ、じゃア云って聞かせるが、コレ女だと思うから優しく出
前へ 次へ
全520ページ中268ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング