三「何《ど》う」
 と手に把《と》って見ると、鎌の柄に丸の中に三の字の焼印《やきいん》が捺《お》してあるのを見て、
 三「甚藏、是は己《おれ》の家《うち》の鎌だ、此の間|與吉《よきち》に持たして遣《や》った、是は與吉の鎌だ」
 甚「だから與吉が持ってればお前《まえ》さんの処《とこ》の鎌でしょう」
 三「左様」
 甚「それだから」
 三「何が」
 甚「何がって、旦那此の鎌はね、奥に誰《たれ》も居やアしませんか」
 三「誰《たれ》も居やアせん」
 甚「此の鎌に就《つ》いて何《ど》うしてもお前さんが二十両|私《わっち》にくれて宜《い》い、私の親切をネ、鎌は詰らねえが私の親切を買って」
 二十両何うしてもくれても宜い訳を話を致しますが、一寸一息吐きまして。

        二十九

 引続きまして申上げました羽生村で三藏と申すは、質屋をして居りまして、田地《でんじ》の七八十石も持って居ります可《か》なりの暮しで、斯様《かよう》に良い暮しを致しますのは、三右衞門と云う親父《おやじ》が屋敷奉公致して居るうち、深見新左衞門に二拾両の金を貰って、死骸の這入りました葛籠《つゞら》を捨てまして国へ
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