当でげす、御尤もでげすねえ」
隅「だからさ、お前がいやなら仕方がないけれども、本当なら、お前の為にどんな苦労をしても、いやな客を取っても、張合があると思っているのさ、それには、判人《はんにん》がないといけないから、お前が判人になって、そうして私が稼いだのをお前に預けるから、私を江戸へ連れて行っておくれな」
富「本当ですか」
隅「あら本当かって、私が嘘をいうものかね、悪《にく》らしいよ」
富「あゝ痛い、捻《つね》ってはいけない、そういう……又|充溢《いっぱい》になってしまった……いけないねえ……だが、お隅さん、本当に御疑念はお晴らしください、富五郎迷惑至極だてねえ」
隅「どうも、うるさいよ、未《ま》だ何処《どこ》まで疑《うたぐ》るのだね、そんなに疑るなら証拠を出して見せようじゃないか、そら、是が羽生村から取って来た離縁状と、是はお客に貰った三十両あるのだよ、お前が真実女房に持ってくれる気なら、此のお金と離縁状を預けるがお前も確《たしか》な証拠を見せておくれよ、富さん」
富「本当ですか、本当なら私だって、親類もあるから、お前さんと二人で行って、話しをすればすぐだね、そりゃア、小さくも御家人の株ぐらいは買ってくれるだろう、お隅さん本当なら、生涯嘘はつかないねえ」
隅「まア嬉しいじゃアないか、富さん本当かい」
富「そりゃア本当」
隅「有難いねえ、じゃア証拠を見せておくれな」
富「別に証拠はない」
隅「だから悪《にく》らしいよ」
富「悪らしいってあれば出すけどもないもの、じゃア外に仕方がないから斯《こ》うしよう、そう話がきまれば、此処《こゝ》に永く奉公さして置きたくないからね、どこまでも金の才覚をして早く江戸へ行こう、富五郎浪人はしていても、百や二百の金は直《すぐ》に出来るから」
隅「そう、そんなに入らないが、路銀と土産ぐらい買って行きたいねえ」
富「こう仕よう」
隅「だって急にお前に苦労させては済まないから、此処で私が二年も稼いでから」
富「なに宜《い》い、いゝから、斯《こ》うしよう、一角を騙《だま》して百両取ろう」
隅「おや一角さんは何処《どこ》にいるの」
富「うん、まあいゝや、お隅さん本当に御疑念の処は」
隅「又そんなことを、本当にお前は悪らしいよ、じゃアお前は一角となれあって殺したことがあるから、私がどこまでも仇《かたき》を狙って
前へ
次へ
全260ページ中198ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング