ばくち》へ手を出して居るとだしぬけに御用と云うのでバラ/\逃げて入江の用水の中へ這入って、水の中を潜《くゞ》り込んで土手下のボサッカの中へ隠れて居ると、其処《そこ》で人殺しがあり、キアッと云う女の声で、私《わっち》も薄気味《うすきび》が悪いから首を上げて見たが暗くって訳が分らず、土砂降だが、稲光がピカ/\する度《たび》時々|斯《こ》う様子が見えると、女を殺して金を盗んだ奴がある、宜《よ》うがすか、判然《はっきり》分りませんが、其の跡へ私が来て見ると、此の鎌が落ちて居る、此の鎌で殺したか、柄《え》にベッタリ黒いものが付いて有るのは血《のり》じみサ、取上げて見ると丸に三の字の焼印が捺して有る、宜うがすか、旦那の家《うち》の鎌、ひょっとして他《ほか》の奴が、此の鎌が女を殺した処《とこ》に落ちて有るからにゃア此の鎌で殺したと、もしやお前《まえ》さんが何様《どん》な係り合になるめえ物でもねえと思い、幸い旦那の御恩返《ごおんげえ》しと思って、私が拾って家《うち》へ帰《けえ》って今迄隠して居た、宜うがすか、お前《めえ》さんの処《ところ》で死骸《しげえ》を引取って己の家《うち》の姪《めえ》と云うので法事も有ったのだから、お前《めえ》さんの処で女を殺して物を取った訳はねえが、悪《わり》い奴が拾いでもすると、お前《めえ》さんは善《い》い人と思っては居るが、そう村中みんなお前《めえ》さんを誉《ほめ》る者ばかりじゃアねえ、其の中《うち》には五人や八人は彼様《あんな》になれる訳はねえと、工面が良《い》いと憎まれる事も有りましょう、それから中には悪く云う奴もある私と斯《こ》う中好《なかよ》く、お前《まえ》さんは江戸に奉公して江戸子《えどっこ》同様と云うので、甚藏や悪《わり》い事はするナ、と番毎《ばんごと》に斯《こ》う云ってお呉《く》んなさるは有難《ありがて》えと思って居るが、私がお前《めえ》さんに平生《ふだん》お世話に成って居りますから、娘を殺して金を取るような人でねえ事は知って居りますが、宜うがすか、お前《めえ》さんと若《も》し私が中が悪くって、忌々《いめえま》しい奴だ、何《ど》うかしてと思って居《い》れば、私が鎌を持って、斯《こ》うだ此の鎌が落ちて有った是は三藏の処《とこ》の鎌だと振廻して役所へでも持出せば、お前《めえ》さんの腰へ否《いや》でも縄が付く、然《そ》うでないまでも、十日でも二十
前へ
次へ
全260ページ中78ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング