ょうでえぶん》だよ、いゝかえ」
新「ヘエ」
甚「兄弟分に成ったから兄に物を隠しちゃアいけねえぜ」
新「ヘエ/\」
甚「お互《たげえ》に悪い事も善《い》い事も打明けて話し合うのが兄弟分だ、いゝか」
新「ヘエ/\」
甚「今夜土手で女を殺したのはお前《めえ》だのう」
新「イヽエ」
甚「とぼけやアがるなエ此畜生《こんちきしょう》、云いねえ、云えよ」
新「な、何を被仰《おっしゃる》ので」
甚「とぼけやアがって此畜生め、先刻《さっき》鎌を出したら手前《てめえ》の面付《つらつき》は変ったぜ、殺したら殺したと云えよ」
新「何《ど》うもトヽ飛んでもない事を仰しゃる、私《わたくし》は何うもそんな、外《ほか》の事と違い人を殺すなぞと、苟《かり》にも私は、どうも此方様《こちらさま》には居《お》られません、ヘエ」
甚「居られなければ出て行け、さア居られなければ出て行きや、無理に置こうとは云わねえ、兄弟分《きょうだいぶん》になれば善《い》い悪いを明《あか》しあうのが兄弟分だ、兄分《あにぶん》の己の口から縛らせる気遣《きづけえ》ねえ、殺したから殺したと云えと云うに」
新「何うもそれは困りますね、何《なに》もそんな事を、何うも是は、何うも外の事と違いますからねエ、何うもヘエ、人を殺すなぞと、そんな私《わたくし》ども、ヘエ何うも」
甚「此畜生分らねえ才槌《さいづち》だな、間抜め、殺したに相違ねえ、そんな奴を置くと村の難儀になるから、手前《てめえ》を追出す代りに、己の口から訴人して、踏縛《ふんじば》って代官所へでも役所へでも引くから然《そ》う思え」
二十六
新「何うも私《わたくし》はもうお暇《いとま》致します」
甚「行きねえ、己が踏縛《ふんじば》るからいゝか」
新「そんな、何うも、無理を仰しゃって、私《わたくし》が何《な》んで、何うも」
甚「分らねえ畜生だナ、手前《てめえ》殺したと打明けて云えよ、手前の悪事を、己は兄分《あにぶん》だから云う気遣《きづけえ》はねえ、お互《たげえ》に、悪事を云ってくれるなと隠し合うのが兄弟分《きょうだいぶん》のよしみだから、是っぱかりも云わねえから云えよ、云わなければ代官所へ引張《ひっぱ》って行くぞ、さア云え」
新「ヘエ、何うも、ち…些《ちっ》とばかり、こ…殺しました」
甚「些とばかり殺す奴があるものかえ、女を殺
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