に会わしてくれんか」
婆「はい、殿様は彼《あ》の飴屋の御亭主を御存じで」
秋「いや/\知らんが、少し思うことがある、それゆえ貴様の家《うち》へ往《い》くんだが、貴様の家は二間《ふたま》あるか、失礼な事を云うようだが、広いかえ」
婆「店の処《とこ》は土間になって居りまして、折曲《おりまが》って内へ入るんでがすが、土間へは、薪《まき》を置いたり炭俵を積んどくですが、二間ぐれえはごぜえます、庭も些《ちっ》とばかりあって、奥が六畳になって、縁側附で爐《ろ》も切ってあって、都合が宜うごぜえます、其の奥の方も畳を敷けば八畳もありましょうか、直《すぐ》に折曲って台所になって居ります」
秋「そんなら六畳の方でも八畳の方でも宜《よ》いが、その処《ところ》に隠れていて、飴屋の亭主が来た時に私《わし》に知らしてくれ、それまで私を奥の方へ隠して置くような工夫をしてくれゝば辱《かたじ》けないが、隠れる処があるかえ」
婆「はい、狭《せも》うござえますし、それに殿様が入らっしたって、汚くって坐る処もないが、上《うえ》の藤右衞門《とうえもん》の処《とこ》に屏風《びょうぶ》が有りますから、それを立廻《たてまわ》してあげましょう」
秋「それは至極宜かろう、何でも宜しい、私《わし》が弁当を持って行《ゆ》くから別に厄介にはならん」
婆「旨《うめ》えものは有りませんが、在郷《ざいご》のことですから焚立《たきたて》の御飯ぐらいは出来ます、畑物の茄子《なす》ぐらい煮て上げましょうよ」
秋「然《そ》うしてくれゝば千万|辱《かたじ》けないが、事に寄ると私《わし》一人《ひとり》で往《ゆ》くがな、飴屋の亭主に知れちゃアならんのだが、何時《なんどき》ぐらいに飴屋の亭主は来るな」
婆「左様さ、大概お昼を喫《あが》ってから出て参りますが、彼《あれ》でも未刻過《やつすぎ》ぐらいにはまいりましょうか、それとも早く来ますかも知れませんよ」
秋「そんなら私《わし》は正午前《ひるまえ》に弁当を持ってまいる、村方の者にも云っちゃアならん」
婆「ハア、それは何ういう理由《わけ》で」
秋「此の方《ほう》に少し訳があるんだ、注文をして置いた瓢覃《ひょうたん》を持って来たとな」
婆「誠に妙な形《なり》でお役に立つか知りませんが」
 と差出すを見て、
秋「斯ういう形《かたち》じゃア不都合じゃが」
婆「其の代り無代《たゞ》で宜うがんす、口を打欠《ぶ
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