と抜け出して出し抜《ぬけ》にわッと云って、大勢が長いのを振舞わして此処《こゝ》へ遣って来られた日にゃ大変じゃありませんか」
文「もしや来たらお浪を遣《よこ》して私《わし》に知らせろ、そうして私《わし》の来る間|手前《てめえ》は路地口の処へ出て掛合っていろ、手前《てまえ》は此の長屋の行事でございますが、何《ど》ういう訳で左様に長い物を振《ふる》って町家《ちょうか》をお荒しなさいまする、その次第を一応手前にお告げ下さいと云って出ろ」
國「そりゃ否《いや》だね、行事だ詰らねえ事を云う、面倒臭いと斬られてしまいましょう、否《い》やだアねえ」
文「若《も》し来たら知らせれば宜《よ》い、左様なら」
と足を早めて往《ゆ》きますから、
國「もし旦那、もし、あれだもの仕様がない、あれ旦那」
と云うを耳にも止めず文治郎は平気《すまし》て帰って往《ゆ》きます。國藏は頻《しき》りに心配して大家さんへ届けたり、自身番を頼んだりぐる/\騒いで居りますると、文治郎の鑑識《めがね》に違《たが》わず、それっ切り仕返しにも来ませんでしたが、後《のち》に小野庄左衞門は蟠龍軒から怨《うらみ》を受け、遂に復讎《ふく
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