騙り/\と金切声で言うと、ばら/\と内弟子が三四人来て、不埓至極な奴、先生を騙りなどと悪口雑言《あっこうぞうごん》をしては捨置かれぬ、出ろと襟髪《えりがみ》を取って腕を捕《つか》まえて門前へ引摺り出し、打擲して、前に申し上げた通り割下水の溝《みぞ》へ倒《さか》さまに突込《つきこ》んで、踏んだり蹴たり、半死半生《はんしはんしょう》息も絶え/″\になりましたが、口惜しいから、
友「さア殺せ、さア殺して仕舞え/\」
と云う声、実に悲鳴を放って苦し[#「し」は底本では欠如]んでいるのでございます。処へ文治郎通り掛ったが、母が同道でございますから、何分《なにぶん》にも問うことも出来ません。宅へ帰って森松に耳こすりして、全く友之助が蟠龍軒の為に酷《ひど》い目に遇《あ》っているなら、助けないで彼《あ》のまゝにして置けば必ず死ぬから、早く見て来いと云うから、森松は飛出して割下水へ来て見ると、四辺《あたり》はひっそりとしていたけれども、其の者は溝《どぶ》から這上《はいあが》って這うようにして彼方《あっち》へ行った此方《こっち》へ行ったと人の話を聞いて、だん/\跡を追って吾妻橋へ掛りますと、ポツリ/\
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