》って未《ま》だ二十六七両は残ってありますから、これをお前達に路銀として餞別に上げようから、少しも早く逃げのびなさい、立退《たちの》く道は宇都宮の明神様の後山《うしろやま》を越え、慈光寺《じこうじ》の門前から付いて曲り、八|幡山《わたやま》を抜けてなだれに下りると日光街道、それより鹿沼道《かぬまみち》へ一里半|行《い》けば、十|郎《ろう》ヶ|峰《みね》という所、それよりまた一里半あまり行《ゆ》けば鹿沼へ出ます、それより先は田沼道《たぬまみち》奈良村《ならむら》へ出る間道《かんどう》、人の目つまにかゝらぬ抜道《ぬけみち》、少しも早く逃げのびて、何処《いずこ》の果なりとも身を隠し、悪い事をしたと気がつきましたら、髪を剃《そ》って二人とも袈裟《けさ》と衣《ころも》に身を窶《やつ》し、殺した御主人飯島様の追善供養致したなら、命の助かる事もあろうが、只|不便《ふびん》なのは忰の孝助、敵の行方の知れぬ時は一生旅寝の艱難困苦《かんなんこんく》、御主《おしゅう》のお家も立ちません、気の毒な事と気がついたら心を入れかえ善人に成っておくれよ、さア/\早く」
 と路銀まで出しまして、義理を立てぬく母の真心《
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