》こういう病人を二度ほど先生の代脉《だいみゃく》で手掛けた事があるが、宿へ下げれば屹度云わないから下げべし/\」
 と云われて、伴藏は小気味が悪いけれども、山本の勧めに任せ早速に宿を呼寄せ引渡し、表へ出るやいなや正気に復《かえ》った様子なれば、伴藏も安心していると今度は番頭の文助がウンと呻《うな》って夜着をかむり、寝たかと思うと起上り、幽霊に貰った百両の金でこれだけの身代になり上り、といい出したれば、又宿を呼んで下げてしまうと、今度は小僧が呻り出したれば又宿へ下げてしまい、奉公人残らずを帰し、あとには伴藏と志丈と二人ぎりになりました。
志「伴藏さん、今度呻ればおいらの番だが、妙だったね、だが伴藏さん打明けて話をしてくんなせえ、萩原さんが幽霊に魅《みい》られ、骨と一緒に死んでいたとの評判もあり、又首に掛けた大事の守りが掏代《すりかわ》っていたと云うが、其の鑑定はどうも分らなかった、尤《もっと》も白翁堂と云う人相見の老爺《おやじ》が少しは覚《けど》って新幡随院の和尚に話すと、和尚は疾《とう》より覚《さと》っていて、盗んだ奴が土中《どちゅう》へ埋め隠してあると云ったそうだが、今日《きょう》初
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