くれ、そして若《も》しお前がお迎いに行《ゆ》かない間《うち》にお帰りになるかも知れないよ、お前|外《ほか》の道を行《い》って、途中でお目に懸らないといけない、殿様は何時《いつ》でも大曲りの方をお通りになるから、あっちの方から行《ゆ》けば途中で殿様にお目に懸るかも知れない、直に行《い》っておくれ」
孝「へい、そんなら帰らなければよかった」
と再び屋敷を立出《たちい》で、大曲りへかゝると、中間《ちゅうげん》三人は手に/\真鍮巻《しんちゅうまき》の木刀を捻《ひね》くり待ちあぐんでいたのも道理、来《こ》ようと思う方《ほう》から来ないで、後《あと》の方から花菱《はなびし》の提灯《ちょうちん》を提《さ》げて来るのを見付け、慥《たしか》に孝助と思い、相助はズッと進んで、
相「やい待て」
孝「誰だ、相助じゃねえか」
相「おゝ相助だ、貴様と喧嘩しょうと思って待っていたのだ」
孝「何をいうのだ、唐突《だしぬけ》に、貴様と喧嘩する事は何もねえ」
相「汝《おの》れ相川様へ胡麻《ごま》アすりやアがって、己《おれ》の養子になる邪魔をした、そればかりでなくおれの事を盗人《ぬすっと》根性があると云やアがったろう、ど
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