い》漁史なり
[#改頁]
凡 例
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
一 この書題して「少年文学」といへるは、少年用文学[#「少年用文学」に白丸傍点]との意味にて、独逸《ドイツ》語の Jugendschrift (juvenile literature) より来れるなれど、我邦に適当の熟語なければ、仮にかくは名付けつ。鴎外兄がいはゆる穉物語[#「穉物語」に白丸傍点]も、同じ心なるべしと思ふ。
一 されば文章に修飾を勉《つと》めず、趣向に新奇を索《もと》めず、ひたすら少年の読みやすからんを願ふてわざと例の言文一致も廃しつ。時に五七の句調など用ひて、趣向も文章も天晴《あっぱ》れ時代ぶりたれど、これかへつて少年には、誦《しょう》しやすく解しやすからんか。
一 作者この『こがね丸』を編むに当りて、彼のゲーテーの Reineke Fuchs(狐の裁判)その他グリム、アンデルゼン等の Maerchen(奇異談)また我邦には桃太郎かちかち山を初めとし、古きは『今昔《こんじゃく》物語』、『宇治拾遺《うじしゅうい》』などより、天明ぶりの黄表紙《きびょうし》類など、種々思ひ出して
前へ
次へ
全89ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
巌谷 小波 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング