光を賦與せんと欲するもの也。若し戰ふべくんば、世界の凡べてを相手として戰ふもまた辭せざらんとし、若し親しむべくんば、人種、地理、歴史、恩讐の別を問はずして、親しまんとするもの也。其志望や大[#「其志望や大」に白丸傍点]、其氣象や高[#「其氣象や高」に白丸傍点]、其勢や順[#「其勢や順」に白丸傍点]、其理や適[#「其理や適」に白丸傍点]、是れ、支那海の盡くる所、太平洋の初まる所に國を起し、世界東西の文明を呼吸し、高きに據つて、亞細亞思想(若し此の如きものありとせば)の頑固なる塊土とも云ふべき支那に向つて、大打撃を與へたる時勢が生み出せる、正統の子たる也。夫れ支那は稍※[#二の字点、1−2−22]我と人種を同じくし、等しく亞細亞洲中にあり、而して其文明は曾て一たび、我國民を嚮導せり。然かも吾人は、人種、歴史、地理を顧慮せず、斷々乎として撃つて之を懲らす。征清の大業中[#「征清の大業中」に丸傍点]、固より人種[#「固より人種」に丸傍点]、歴史[#「歴史」に丸傍点]、地理の異同なく[#「地理の異同なく」に丸傍点]、世界の文明により[#「世界の文明により」に丸傍点]、世界の勢により[#「世界の勢により」に丸傍点]、世界の道理により[#「世界の道理により」に丸傍点]、世界の利益のため[#「世界の利益のため」に丸傍点]、世界的大運動に出でしやまた明白ならず耶[#「世界的大運動に出でしやまた明白ならず耶」に丸傍点]。
『亞細亞の日本[#「亞細亞の日本」に白丸傍点]』とは何ぞ[#「とは何ぞ」に白丸傍点]。世界と云ひ[#「世界と云ひ」に白丸傍点]、亞細亞と云ふ[#「亞細亞と云ふ」に白丸傍点]、獨り其の大小の差あるのみならず[#「獨り其の大小の差あるのみならず」に白丸傍点]、性質に於て全く相反す[#「性質に於て全く相反す」に白丸傍点]。『亞細亞の日本』と云ふは、地理的空名の上に超然たる大國民をして、退きて偏隅に割據して、地理的空名に掣肘せられしむる者也。人種の區別に制せられざる大國民をして、人種的嫉爭の狹隘界に退かしむるもの也。東西文明の英華を食ひ、世界の高所に立つ國民をして、退きて東洋歴史の惰力に制せられしむる也。即ち世界を相手とし[#「即ち世界を相手とし」に白丸傍点]、世界の高所に立ち[#「世界の高所に立ち」に白丸傍点]、世界の順勢に乘じ[#「世界の順勢に乘じ」に白丸傍点]、世界の力
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