傍線]の政治家が、歐洲の權力平衡を知るが如く、彼等は列國の愼僞を知る。彼等はマキアベーリ[#「マキアベーリ」に傍線]を讀まざるも、其半島國たる形勢は、自然に彼等に教ゆるにマキアベーリ[#「マキアベーリ」に傍線]主義を以てす。彼等は日本の兵力を見て恐怖すと雖も、世界の表面には日本の兵力と匹敵する國民ありて常に之に乘ぜんとするを知れり。彼等は支那の勢力已に日本の爲めに朝鮮より一掃せらるゝを見るも、更らに第二の支那たらんとするものあるを知れり。第二の支那を作るの易々たるを知れり。日本は朝鮮の獨立を世界に公言したるがため、また朝鮮の主權を如何ともする能はざるを知れり。彼等は其獨立の名あるがために、獨立の實を日本に求むるも、順にして事正しく列國の皆な之を承認すべきを知れり。彼等は一の兵力を有せざるも、列國の權力平均と、妬嫉の情とを利用せば、以て日本の干渉を遮ぎるに足るべきを知れり。彼等は半開國と雖も、暹羅安南の如きものにあらず。半島國固有の氣質は、彼等をして外交的技倆を具へしむ。而して今や彼等は日本に對して漸やく嫌たらざらんとし[#「而して今や彼等は日本に對して漸やく嫌たらざらんとし」に白丸傍点]、漸やく他の勢力を利用するも日本の干渉を※[#「冫+咸」、146−下−26]ぜんとするを見る[#「漸やく他の勢力を利用するも日本の干渉を※[#「冫+咸」、146−下−26]ぜんとするを見る」に白丸傍点]。現に三百萬圓の貸附金の如きも、彼等は約しては負き、負きては約し、曖昧躊躇す。而して其の實は他の某國より五百萬圓を貸與せんと云ふの喚諾に迷ふて然る也。また、其の三百萬圓の抵當の如きも、日本政府、海關税を以て之に充てしめんとすれば、已に他の國家に對して抵當とせるを發見す。列國の形勢[#「列國の形勢」に丸傍点]、經濟上の欠乏[#「經濟上の欠乏」に丸傍点]、其政治家の狡獪は[#「其政治家の狡獪は」に丸傍点]、内外上下相結合して[#「内外上下相結合して」に丸傍点]、到底日本をして主一の保護者たらしめず[#「到底日本をして主一の保護者たらしめず」に丸傍点]。第二の支那を他より招かずんば休せざるべし[#「第二の支那を他より招かずんば休せざるべし」に丸傍点]。此時に方つては吾人は恐るべき一大勢力と相交渉せざるべからざるを發見せん[#「此時に方つては吾人は恐るべき一大勢力と相交渉せざるべからざるを發見
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