《なり》をして、こんな立派な鐘をつくったのだもの、こんな芽出たいことがあるものか。この鐘を鳴らしたら、どんなわるいことでも消えてしまうにちがいない。湖の水も澄んでしまうに違いない」
と、村の人々は喜んで勇み立ちました。
その日はちょうどお天気のいい日でした。地にはいろいろの花が咲き乱れ、梢や空には様々の鳥が啼《な》いて、眩しいお太陽様《てんとさま》が白い雲の底からキラキラと輝いていました。村の人々は、お爺さんもお婆さんも、大人も子供も、みんな奇麗な着物を着て、ルルが作った鐘のお祝いを見にお寺をさして集まって来ました。
お菓子屋や、オモチャ屋や、のぞき眼鏡や、風船売りや、操《あやつり》人形なぞがお寺の門の前には一パイに並んで、それはそれは賑やかなことでした。
ルルの偉いことや、ミミの美しいことを口々に話し合っていた村の人々は、その時ピッタリと静かになりました。
ルルが作った鐘は坊さんの手で、高く高くお寺の鐘つき堂に釣り上げられました。銀色の鐘は春のお太陽様《てんとさま》の光りを受けて、まぶしく輝きながらユラリユラリと揺れました。
村の人々は感心のあまり溜息をしました。嬉しさの
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