噴水を治《なお》してしまうまでは待ってたもれよ。それももう長いことではない。ミミよ、お聞きやれ。あのルルの打つ鎚《つち》の音《ね》の勇ましいこと」
女王様とミミは涙に濡れた顔をあげて、ルルの振る鉄鎚の音をききました。
ルルは湖の御殿の噴水を一生懸命につくろいました。もう二度とふたたびこわれることのないように、そうして、陸《おか》の鐘つくりや鍛冶屋さんが湖の女王様に呼ばれることのないように、命がけで働きました。そのうち振る槌の音は、湖のふちにある魚《うお》の隠れ家や蟹の穴までも沁《し》み渡るほど、高く高く響きました。
「カーンコーン カンコン
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ミミにわかれてこの湖の、底にうちふるこの鎚のおと、ルルがうちふるこの槌の音
カーンコーン カンコン
ないてうちふるこの槌の音、ないてたたいてこの湖の、水をすませやこの槌のおと
カーンコーン カンコン
ミミにあいたやあの妹に、おかへゆきたやあの故郷《ふるさと》へ、そしてききたやあの鐘の音」
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ルルはとうとう噴水を立派につくろい上げました。玉のような澄み切った水の泡が、嬉しそうにキラキラと輝きながら
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