者を探り当てて、ヒヤリとしながら手を引《ひ》き退《こ》めました。それは鉄と氷との二ツの死骸でしたが、薄い月の光りはその物凄い白と黒の二ツの姿を照して、何だか両方とも青眼先生を睨んでいるように思わせました。
青眼先生は思わずタジタジとあと退《ずさ》りをしました。そうして二ツの死骸をじっと見入りました。すると不思議や、青眼先生の直ぐうしろに寝ていた一ツの首が、白い眼を開いて月の光りを見ながら、唇をムズムズと動かし始めましたが、やがて不意に――
「嘘|吐《つ》き」
と云いました。青眼先生はハッと驚いて背後《うしろ》をふり向きますと、うしろにはたった今|検《あらた》めた馬丁《べっとう》の死骸があるばかりで、しかも手も足もバラバラになっているのですから、口を利く気遣いはありませぬ。先生は大方耳の迷いだろうと思って、ここを立ち去ろうとしますと、今度は別の死骸の、身体《からだ》から離れて転がっている首級《くび》が、眼をパッチリ開いて、月あかりに先生の顔をジッと睨みながら――
「不忠者」
と叫びました。青眼先生は身体《からだ》中が痺《しび》れる程驚いて、立ち竦んでしまいますと、今度は四方八方の死
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