せられます。貴女のお家に災《わざわい》を致しましたのは……お兄様やお姉様を殺しましたのは、今氷になっているあの美留藻の魂が、貴女に乗り移って為《し》た事……」
と申しましたが、その言葉のまだ終るか終らぬかに、雷が落ちたような声を立ててこの室《へや》に飛び込んで来て、二人を左右に突き飛ばした者がありました。それは紅木大臣でした。それと見ると女王はよろめき倒れた身を起して――
「あれ。お父様」
と一声高く叫びながら駈け寄ろうとしましたが、紅木大臣の見幕があまり恐ろしいので、思わずハッと踏み止まりました。そうしてワナワナ震えながら――
「オ……お父様……お父……様……」
と云う中《うち》に次第にあと退りをして、一方の壁に倚《よ》りかかって身体《からだ》を支えました。青眼先生も紅木大臣の見幕に驚いて、床の上に尻餅を突いたまま、呆気《あっけ》に取られて大臣の顔を見詰めておりました。
紅木大臣はその間につかつかと寝台《ねだい》に近寄って、白布《しろぬの》を取り除《の》けました。その下には髪毛から首のあたり――胸から爪先へかけて、一面に紅玉《ルビー》に包まれて、臘《ろう》のように血の気を失っ
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