勇んで遣りたかった。けれどもそれも出来なかった。身内の者が死ねば、その血筋の者はその日|一日《いちじつ》と一夜《ひとよ》の間、宮中へ出られないのがこの国の掟だ。だから紅矢や美紅はまだ生きている事にして、お前を宮中に出そうと思ったが、そのために又|却《かえ》って驚かして、悲しまして、涙と一所に送り出した。
噫《ああ》、兄は鉄になった。妹は氷になった。あとに残ったたった一人は、花で飾った馬車に乗って女王になるために泣きながら王宮に行った。女王になるのが何の嬉しかろう。王宮が何で楽しかろう。ああ。ああ。俺は気違いになりそうだ」
その声は次第に高まってしどろもどろに乱れて来ました。とうとう立っていられなくなって、両手を顔に当てたまま床の上に泣き倒れましたが、間もなくよろよろと立ち上って、
「石神に祈ろう。石神に祈ろう。濃紅姫の無事を祈ろう」
と云いながら室《へや》をよろめき出て行きました。
あとに残った青眼先生は、矢張り二ツの死骸を見つめたまま立っていました。けれども紅木大臣がこの室《へや》を出ると間もなく、有り合う椅子にドッカと腰を下して、腕を組み眼を閉じてじっと考え込みました。そう
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