。
お父さんも眠っていた。黒牛も眠っていた。
私だけ知っている。悪魔だ。悪魔だ。この間の悪魔だ。おのれ悪魔。もう一度来い。今後は逃《の》がさぬぞ。この繃帯を解いてくれ。この蒲団《ふとん》を取ってくれ。早く。早く」
と叫びましたが、やがて又疲れたと見えてグタリと横になって、ウトウトと眠り初めました。
この様子を見た青眼先生は又もや腰を抜かさんばかりに驚いたらしく思わず――
「ム――ム。悪魔……」
と叫びましたが、有り合う椅子にドッカと腰を下して、眼を閉じ口を一文字に結んでさも口惜《くや》しそうに――
「宝蛇だ。宝蛇だ。扨《さて》は自分の思い通りであったか」
と独り言を云いました。
傍に居た人々は両親を初め皆、いよいよ不思議な青眼先生の言葉や行いに驚いて、一体これはどうした訳であろうと怪しみました。そうして黙って考え込んでいる青眼先生の、物凄い顔付きを穴の明く程見つめていました。すると青眼先生は間もなく考《かんがえ》が付いたと見えまして、眼をパッと開いて――
「よし。覚悟した。私はどうしてもその悪魔の正体を見届けずにはおかぬ」
と申しました。
それから青眼先生は紅木大臣夫
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