度八百八十歳になりますが、まだ一度も嘘を云った事は御座いませぬ。今ここに持っておりまする果物も、その占いに使うための不思議な果物で、今度王様が御妃を御迎え遊ばすに就いて、この世で一番賢い美しい姫君をお撰みになるように、この果物を差し上げに行くので御座います。この果物がどんな不思議な働《はたらき》を致しますかという事は、直きに貴方にもお目にかける事が出来ましょう。そうしたら貴方もこの婆《ばばあ》の申し上げる事が、嘘でないと思《おぼ》し召《め》すで御座いましょう」
 と申しました。
 この婆さんの落ち付いた話ぶりには、流石《さすが》の紅矢もすっかり引き込まれてしまいました――
「何。それは本当《ほんと》かえ。私の家にはそんな恐ろしい災が降りかかろうとしているのかえ。どうしてそれがわかるの、お婆さん。教えておくれ」
 と急《せ》き込んで尋ねました。

     十四 果物の占い

 するとお婆さんはうしろから覗き込んでいる紅矢の顔を、黒い覆面の下からそっと見返りながら申しました。
「そんなにお騒ぎにならなくとも大丈夫で御座います。災というものは前からわかっていれば、誰でも免れる事が出来るもの
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