でも際会したならば、吾が大和民族は、遂にその首都の東京人が地震の打撃に依って本音を吹いた如く、ダラシない民族と成り果てはしまいか。
 しかも――。
 このような自覚――思想は都会人に依って宣伝されたのでは駄目である。否……厳密に云えば、記者の如き手の白い労働者によって称道されたのでも駄目である。
 却て、地方の純真な、堅実な、そうして口も筆も不調法な、若い人々の腹の底でウ――ンと覚悟されたのでなければ、絶対に無力、無価値なものとなるのではあるまいか。
 記者はこれだけの疑問を読者諸君に呈したいためにこの稿を起した。自ら惴《はじ》らぬ罪は謹んで負う。[#地から1字上げ](大正十四年三月三十一日夜)



底本:「夢野久作全集2」ちくま文庫、筑摩書房
   1992(平成4)年6月22日第1刷発行
※底本の解題によれば、初出時の署名は「杉山萠圓《すぎやまほうえん》」です。
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、「六ヶしい」は大振りに、それ以外は小振りにつくっています。
入力:柴田卓治
校正:かとうかおり
2000年4月28日公開
2006年5月3日修正
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