びた》を這いまわる。そうして一朝事が無くなると、又澄まして文化面をして田舎者を馬鹿にする。
そんな人間を「東京」と名づけるとすれば、諸君は果して尊敬するであろうか。諸君はこんな人間を吾が大和民族の代表者として許すであろうか。
序の事に、今一つの方面から東京を批判させて頂きたい。
従来、日本の首都(都会と云いたいが、ここでは取り敢ず首都だけに就いて考えたい。無論、都会という意味に取られても構わないが)は、吾が日本民族に対してどんな仕事をしたか。
奈良でも、大阪でも、京都でも、又は今の東京でも、皆日本民族のブル思想の反映に過ぎなかった。地位、名誉、傲奢の府として、地方に悪感化を及ぼす使命しか持たなかった。
これに憤慨して起った地方的勢力も、一度時を得て都に入ると、すぐに堕落してブル政治を施し、ブル生活を壟断《ろうだん》して、自分の一族一派以外のものを賤民扱いにした。
源の頼朝は極度にこれを嫌った。
京都を離れた鎌倉に幕府を開いたところに、この首都のブル式悪感化を避けた用意が見える。戦功に傲《おご》ってブル化しようとした義仲、義経を片っ端から殺してしまった。範頼もとやかく攻め亡
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