媾曳《あいびき》に慣れた少女の手紙である。東京付近の郊外が、到る処こうした男女のために利用されている事が推測される。

     本物の不良いろいろ

 次には本物の不良少年少女に就いて研究して見る。
 実を云うと、不良に本物だの贋ものだのとある筈はない。只、程度が高いか低いかだけの違いで、煎じ詰むれば人間性の低級な表現に過ぎぬという事は誰しも認むるところであろう。
 ところで、その「不良性」のあらわれに幾通りもあるように思われる。
 第一は最初から生活難の背景、又は商売的の意味を持ったもので、男性では俳優その他の芸人、外勤員、祈祷師、各種の治療師、活弁、呉服屋、ボーイ等の男淫売式《サイドビジネス》? の「不良」、又女性ならば職業婦人の第二職業、女優、女給、芸者、半玉、魔窟の女なぞが発揮するアレである。
 第二の方は興味本位、享楽本位から来たもの――今一つ突込んで云えば、思想カブレ、流行カブレ、虚栄、ウヌボレ、自暴自棄なぞいう内的原因から起った不良性の嵩じたもので、生活難の背景だの、商売的の意味だのが極めて薄い。たとえば男女の学生、華族や富豪のお坊ちゃん嬢ちゃんなぞがあらわす不良性は
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