う名士の名がズラリと並び、発起人に何々会社重役、何々病院長、何々ビルディング支配人なぞいうのから、肩書も何も無いのまで、綺羅星《きらぼし》の如く並んでいる。その先の方に「案内」とあって、小さな活字がギッシリ詰っている。
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▽会費 一ヶ月金三円(毎月三回会合)。
▽会合の種類 (第一類)音楽、絵画、その他芸術的の集まり、展覧会等。(第二類)政治、外交、社会問題に対する質問会。文化、学術講演会。(第三類)洋食、技芸、洋式作法講習会等。(第四類)慈善市、各種交換会等。
▽備考 (一)加入者は品行方正の証明(父兄、学校、青年処女会)ある青年処女に限る。(二)会合の種類に依り父兄同伴随意。(三)何等宗教的意味を含まず。
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といったようなもので、仮申込所を東京府下中野○○番地、松居博麿(仮名)方としてある。
この案内書を貰ってポケットに畳込んだ記者は、そのまま省線に飛び乗って中野で降りた。決して名探偵を気取ったわけではない。流石《さすが》東京と実は大《おおい》に感心させられた。その会合の遣方《やりかた》を習ったら、九州へのいいお
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