が、不成績で入学していないからであることがわかった。
そんな例がある一方に、上級生の堕落やおのろけや、落《おと》し文《ぶみ》が、下級生を刺戟しているのではあるまいかと考えられる廉《かど》もあるから、いっその事、同級生ばかりを一室に入れて成績を見てはどうかという意見が教員間に持ち上っている……云々。
この話だけでも、東京の女性の積極化傾向が如何に急激であるかが、充分に裏書されている。
持てる一高と帝大生
麹町《こうじまち》の某署の刑事は、こんな事を記者に話した。
「東京の女学生の好き嫌いは大抵きまっています。明治や慶応の生徒はニヤケているからダメ、早稲田は豪傑ぶるからイヤ。一高と帝大が一番サッパリしていて、性格が純だから[#「性格が純だから」に傍点]つき合いいいと云います。それから、そんな学生の中でも一番好かれるのは運動家で、その次が音楽の上手、演説、文章、絵の上手はその又次だそうです。学生以外で好かれるのは活動俳優で、とても一生懸命です。『日本の男俳優は肉体美がないから駄目』なぞとよく云っています。運動選手を好くのはそんなところからでしょう」云々。
昔の少女はかぐ
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