澄ましていました。
その様子を見た王様がお妃様の方を向いて何か手真似をしますと、お妃様はうなずいてオシャベリ姫の肩をたたきました。そうしてたべ方を教えるように、姫の見ている前で杯を取り上げましたが、いきなりその盃を鼻に当て、白い牛乳のような汁を鼻の穴からスーッと飲んでしまいました。
オシャベリ姫は呆れてしまいました。鼻の穴から飲むなんて、何という変なたべかたであろうと思いながら、お妃様の顔をよく見ますと、オシャベリ姫は思わず「アッ」と声を出しました。
お妃様の顔の鼻と眼と眉と耳とは当り前にあるのですが、口の処には何もありません。鼻の下から頤《あご》まで一続きにノッペラボーになっているのです。そうして口の代りに赤い絵の具で唇の絵が格好よく描《えが》いてあるのでした。
オシャベリ姫は呆れてしまって、ほかの王様や大将たちの顔をキョロキョロと見まわしましたが、気が付いてみると、どの顔もどの顔も、今まで口と思っていたのはみんな絵の具で描《か》いたもので、只王様や大将たちの口は大きく描《か》いてあり、お妃様の口は小さく描《か》いてあるばかりです。
これを見たオシャベリ姫は思わず吹き出しま
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