な態度で取扱わねばならぬ問題だが、とにかく巨大なる外力が働いたことは確かであるし、それは海において発生したものであること……」
「それは原子爆弾にやられたんですか」
「そこが、その微妙なところで……実はこういう話があるんだが……」
その先をいいかけたとき、飛行場のサービス嬢が、旅客機の修理が終ってすぐ出発しますから、すぐ乗っていただきますと觸《ふ》れて来たので、ケノフスキーは周章《あわ》ててドレゴの方へ手を振って、飛行機の方へ駆け出した。
「ケノフスキーさん。貴方は何の用でどこへ行くんですか」
ケノフスキーは答えるかわりに手を振った。
「いつ帰って来ますか」
「後で詳しく手紙にして送る。さよなら。さよなら」
彼は軽金属の階段を登り切って、旅客機の中へ姿を消した。もうどうしようもなかった。
飛行機の出発を見送ってから、ドレゴは柵の外に乗り捨ててあった自家用車へ戻ってきた。
「どう、うまくいって」
もうどこかへ行ってしまったかと思ったエミリーが、辛抱強く運転席の隣に座って待っていた。
「エミリー、ありがとう。かなりの収穫があったよ、が、時間が切れて話は胴中から尻方の方だけが残った
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