ちと逢ひ同航して歸ることになつた。私たちはサン・フランシスコには三日間滯在して、十一月四日、淺間丸に乘り、九日ホノルル寄港、十八日午前十時、横濱に歸りついた。
 まだ船が港外にかかつてゐる間に、サロンで記者團に包圍されて、大戰避難者としての觀察と感想を叩かれたけれども、ヨーロッパからアメリカへ、アメリカから日本へと、經度を越すごとに實感は失せてしまひ、外廓から見た大戰の印象もその頃はあらかた空疎なものになつてゐた。



底本:「西洋見學」日本評論社
   1941(昭和16)年9月10日発行
   1941(昭和16)年12月10日10版
入力:門田裕志
校正:染川隆俊
2009年6月10日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全22ページ中22ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
野上 豊一郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング