五
そは意志は自ら願ふにあらざれば滅びず、あたかも火が千度《ちたび》強ひて撓《たわ》めらるともなほその中なる自然の力を現はす如く爲せばなり 七六―七八
是故に意志の屈するは、その多少を問はず、暴《あらび》にこれの從ふなり、而《しか》してこれらの魂は聖所《せいじよ》に歸るをうるにあたりてかくなしき 七九―八一
鐡架《てつきう》の上の苦しみに堪《た》へしロレンツォ、わが手につらかりしムツィオのごとく、彼等の意志|全《まつた》かりせば 八二―八四
彼等が自由となるに及び、この意志直ちに彼等をしてその強ひられて離れし路に再び還《かへ》らしめしなるべし、されどかく固き意志極めて稀《まれ》なり 八五―八七
汝よくこれらの言葉を心にとめてさとれるか、さらばこの後汝をしば/\惱ますべかりし疑ひは、はや必ず解けたるならむ 八八―九〇
されど汝の眼前《めのまへ》に今なほ横たはる一の路あり、こはいと難《かた》き路なれば汝|獨《ひと》りにてはこれを出でざるさきに疲れむ 九一―九三
我あきらかに汝に告げて、福《さいはひ》なる魂は常に第一の眞《まこと》に近くとゞまるがゆゑに僞《いつは》るあたはずといへることあり
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