たりては人これを輕視せず必ず充分の注意をこれに拂ふを要す(六四―八四行)
四九―五一
【希伯來人】モーゼの律法に從ひ誓約の獻物《さゝげもの》をなすことレビ記(二七・一以下)に見ゆ
【如何により】獻物の中には易へうべき物あり(レビ、二七・一一以下等)易へうべからざる物あり(同二七・九―一〇等)
五五―五七
何人も寺院(即ち聖職にありてかゝる權能を有する者)の許諾を俟たずたゞ己が意志に從つて誓約の材を變ふるをえず
【黄白二の鑰】僧侶の權能及び技能の象徴なる金銀の鑰(淨、九・一一五以下參照)
五八―六〇
【六の四に】單に大小を表はせるにて數字上の比較にあらず、モーゼの律法にては五分の一を加ふべしとあり(レビ、二七・一三等)
六一―六三
是故に供物の價値甚大にしてこれに相當すべき物他にあらざるときはいかなる善行を以てすとも交換を許さず、童貞の誓ひの如きこの種に屬す
六四―六六
【イエプテ】イエフタ。ガラードの勇士にて後イスラエル人の士師となれる者。イスラエル人の爲にアンモン人と戰ふに當り神に誓ひて曰ふ、汝もし敵をわが手にわたし給はゞ、わが歸らん時わが家の戸より出で來りて我を迎ふる者わが燔祭の獻物となるべしと、しかるにその勝ちて歸るや、彼を迎へし者はわが獨子なる女《むすめ》なりき(士師記一一・三〇以下)
【最初の供物】ヴルガータに「最初に出で來る者」とあるによれり
【輕々しく】bieci(目を斜《はす》にして)、目を斜にして物を視る時はその眞相を認め難し、故にこの語轉じて「思慮なく」の意に用ゐらる(スカルタッツィニ)
誓ひを守るに忠なるはよし、されどこれを立つるに當りては熟慮を要す
六七―六九
【守りて】即ちその女を殺して。輕々しく誓約を立つれば、守りてかへつて守らざるよりも大いなる惡に陷ることあり
【ギリシア人の大將】アガメムノン。トロイア役におけるギリシア軍の主將たり、トロイアに渡らんとすれども順風を得ず空しくアウリスに止まるを憂へ、もしこれを得ばその年生るゝものゝ中最も美しきものをアルテミスに獻ぐべしと誓ひし爲、遂にわが女《むすめ》イピゲネイアを犧牲せざるべからざるにいたれり
七〇―七二
【かゝる神事を】かく酷《むご》き犧牲《いけにへ》の事を
七三―七五
【身を動かし】こゝにては誓約を爲すこと
【いかなる水も】誓約の履行をたやすく免ぜられうべしと思ふ勿れ
七六―七八
聖書の教へを守り寺院の導きに從はゞ救ひを得む、漫りに誓ふはこれを得るの道にあらず
七九―八一
己の慾のため誓願をなすの念起らば、汝等これに盲從せず、人間としてこれに逆へ、さらずば汝等の中に住するユダヤ人等(即ち舊約の律法に從つて誓約を神聖視する)汝等キリスト教徒が誓約に對して思慮なきを笑はむ
八二―八四
【母の乳を】聖書の教へや寺院の導きを離るゝ者は乳を離るゝ羔の如し
【自ら己と戰ふ】ただ獨りにて狂へる如くはねまはるをいふ
八五―八七
【處】太陽もしくは赤道。但しいづれにても上方の事
八八―九〇
【變れる】高く登るに從つてベアトリーチェの姿いよ/\美しく、いよ/\強く輝けばなり
九一―九三
【第二の王國】水星天
九七―九九
【いかなるさま】いかなる印象(喜びや悲しみの)をも受け易き
一〇三―一〇五
【輝】世の榮譽を求めし人々の靈
【ますべきもの】ダンテを指す。われらの愛は、かれの疑ひを解くによりて現はれ、現はるゝによりて愈※[#二の字点、1−2−22]増すべし
一〇五―一一〇七
あゝ福を享けんが爲に生れ、未だ死せざるさきに神恩によりてエムピレオの天を視るを得る者よ
【戰】地上の生命(ヨブ、七・一參照)
一一八―一二〇
【光】神の恩愛の光
一二一―一二三
【靈の一】ユスティニアヌス(天、六・一〇―一二參照)
【神々】誤らず僞らざる(ヨハネ、一〇・三四―五參照)
一二四―一二六
【巣くひ】包まれ
一二七―一二九
【他の光】日光。ダンテは『コンヴィヴィオ』の中に、水星は最小の星にしてかつ他のいづれの星よりも太陽の光に多く蔽はるといへり(二、一四・九一以下)
一三〇―一三二
【前よりはるかに】光の増すは悦の増すなり
一三三―一三五
日の面《おもて》水氣に隔てらるゝときは光和らぐがゆゑにこれを視ることをうれども(淨、三〇・二五―七參照)、水氣熱の爲に飛散すれば、光直射して仰ぎ見難し(淨、一七・五二―四參照)
【幕】原、「和らぐること」
月天にては諸靈の姿そを包む光の爲に微かに見え、水星天にてはこの光なほ増して、近づかざれば光のみ見ゆ、(喜び常よりも大いなる時姿全く見えざることユスティニアヌスの例にて知らる)、また金星天にては光さらに増して聖徒の姿全く見えず、太陽天火星天と天の次第に高きに從つてかれらの光いよ/\強し
第六曲
皇帝ユスティニアヌスの靈水星天にてダ
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