しや、汝|童《わらべ》なりし時、年は幾何《いくばく》の數をか示せる 二二―二四
請ふ告げよ、聖《サン》ジョヴァンニの羊の圈《をり》はその頃いかばかり大いなりしや、またその内にて高座《かみざ》に就くに適《ふさ》はしき民は誰なりしや。 二五―二七
たとへば炭風に吹かれ、燃えて焔を放つごとく、我はかの光のわが媚ぶる言《ことば》をきゝて輝くを見たり 二八―三〇
しかしてこの物いよ/\美しくわが目に見ゆるに從ひ、いよ/\麗《うるは》しき柔《やはら》かき聲にて(但し近代《ちかきよ》の言葉を用ゐで) 三一―三三
我に曰ひけるは。アーヴェのいはれし日より、今は聖徒なるわが母、子を生み、宿《やど》しゝ我を世にいだせる時までに 三四―三六
この火は五百八十囘己が獅子の處にゆき、その足の下にてあらたに燃えたり 三七―三九
またわが先祖達と我とは、汝等の年毎の競技に與《あづか》りて走る者がかの邑《まち》の最後の區劃《わかち》を最初に見る處にて生れき 四〇―四二
わが列祖の事につきては汝これを聞きて足れりとすべし、彼等の誰なりしやまた何處《いづこ》よりこゝに來りしやは寧《むし》ろ言はざるを宜《むべ》とす 四三―四五
その頃マルテと洗禮者《バッティスタ》との間にありて武器を執《と》るをえし者は、すべて合せて、今住む者の五|分《ぶ》一なりき 四六―四八
されど今カムピ、チェルタルド、及びフェギーネと混《まじ》れる斯民《このたみ》、その頃はいと賤しき工匠《たくみ》にいたるまで純なりき 四九―五一
あゝこれらの人々皆|隣人《となりびと》にして、ガルルッツォとトレスピアーノとに汝等の境あらん方《かた》、かれらを容《い》れてかのアグリオンの賤男《しづのを》 五二―
またはシーニアの賤男(公職《おおやけのつとめ》を賣らんとはや目を鋭うする)の惡臭《をしう》を忍ぶにまさることいかばかりぞや ―五七
もし世の最も劣《おと》れる人々、チェーザレと繼《まゝ》しからず、あたかも母のわが兒におけるごとくこまやかなりせば 五八―六〇
かの今フィレンツェ人《びと》となりて兩替しかつ商賣《あきなひ》するひとりの人は、その祖父が物乞へる處なるシミフォンテに歸りしなるべく 六一―六三
モンテムルロは今も昔の伯等《きみたち》に屬し、チェルキはアーコネの寺領に殘り、ボンデルモンティは恐らくはヴァルディグレーヴェに殘れるなるべし 六
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