る黄玉《わうぎよく》よ、汝の名を告げてわが願ひを滿《み》たせ。 八五―八七
あゝわが葉よ。汝を待つさへわが喜びなりき、我こそ汝の根なりけれ。彼まづかく我に答へ 八八―九〇
後また曰《い》ひけるは。汝の家族《やから》の名の本《もと》にて、第一の臺《うてな》に山を※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]《めぐ》ることはや百年餘《もゝとせあまり》に及べる者は 九一―九三
我には子汝には曾祖父《そうそふ》なりき、汝|須《すべか》らく彼の爲にその長き勞苦をば汝の業《わざ》によりて短うすべし 九四―九六
それフィオレンツァはその昔の城壁――今もかしこより第三時と第九時との鐘聞ゆ――の内にて平和を保ち、かつ節《ひか》へかつ愼《つつし》めり 九七―九九
かしこに索《くさり》も冠もなく、飾れる沓《くつ》を穿《は》く女も、締むる人よりなほ目立つべき帶もなかりき 一〇〇―一〇二
まだその頃は女子《によし》生るとも父の恐れとならざりき、その婚期《とき》その聘禮《おくりもの》いづれも度《のり》を超《こ》えざりければなり 一〇三―一〇五
かしこに人の住まざる家なく、室《しつ》の内にて爲《せ》らるゝことを教へんとてサルダナパロの來れることもあらざりき 一〇六―一〇八
まだその頃は汝等のウッチェルラトイオもモンテマーロにまさらざりき――今その榮《さかえ》のまさるごとく、この後|衰《おとろへ》もまたまさらむ 一〇九―一一一
我はベルリンチオーン・ベルティが革紐《かわひも》と骨との帶を卷きて出で、またその妻が假粧《けさう》せずして鏡を離れ來るを見たり 一一二―一一四
またネルリの家長《いへをさ》とヴェッキオの家長《いへをさ》とが皮のみの衣をもて、その妻等が紡錘《つむ》と麻とをもて、心に足《た》れりとするを見たり 一一五―一一七
あゝ幸《さち》多き女等よ、彼等は一人だにその墓につきて恐れず、また未だフランスの故によりて獨《ひと》り臥床《ふしど》に殘されず 一一八―一二〇
ひとりは目を醒《さめ》しゐて搖籃《ゆりかご》を守り、またあやしつゝ、父母《ちゝはゝ》の心をばまづ樂します言《ことば》を用ゐ 一二一―一二三
ひとりは絲を紡《つむ》ぎつゝ、わが家《や》の人々と、トロイア人《びと》、フィエソレ、ローマの物語などなしき、チアンゲルラや 一二四―
ラーポ・サルテレルロの如き者その頃ありしならんには、チンチンナ
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