ほうみ》をわたりて多くの異なる湊《みなと》にむかふ 一一二―一一四
火を月の方に送るも是《これ》、滅ぶる心を動かすも是、地を相寄せて一にするもまた是なり 一一五―一一七
またこの弓は、たゞ了知《さとり》なきものゝみならず、智あり愛あるものをも射放つ 一一八―一二〇
かく萬有の次第を立つる神の攝理は、いと疾《と》くめぐる天をつゝむ一の天をば、常にその光によりてしづかならしむ 一二一―一二三
今やかしこに、己が射放つ物をばすべて樂しき的《まと》にむくる弦《つる》の力我等を送る、あたかも定《さだま》れる場所におくるごとし 一二四―一二六
されどげに、材|默《もだ》して應《こた》へざるため形しば/\技藝の工夫《くふう》に配《そ》はざるごとく 一二七―一二九
被造物《つくられしもの》またしば/\この路を離る、そはこれは、かく促《うなが》さるれども、もし最初の刺戟僞りの快樂《けらく》の爲に逸《そ》れて 一三〇―
これを地に向はしむれば、その行方《ゆくへ》を誤る(あたかも雲より火の墜《おつ》ることあるごとく)ことをうればなり ―一三五
わが量《はか》るところ正しくば、汝の登るはとある流れの高山より麓《ふもと》に下り行くごとし、何ぞ異《あやし》とするに足らんや 一三六―一三八
汝|障礙《しやうげ》を脱しつゝなほ下に止まらば、是かへつて汝における一の不思議にて、地上に靜なることの燃ゆる火における如くなるべし。 一三九―一四一
かくいひて再び顏を天にむけたり 一四二―一四四
[#改ページ]

   第二曲

あゝ聽かんとて小舟《をぶね》に乘りつゝ、歌ひて進むわが船のあとを追ひ來れる人等よ 一―三
立歸りて再び汝等の岸を見よ、沖に浮びいづるなかれ、恐らくは汝等我を見ずしてさまよふにいたるべければなり 四―六
わがわたりゆく水は人いまだ越えしことなし、ミネルヴァ氣息《いき》を嘘《ふ》き、アポルロ我を導き、九のムーゼ我に北斗を指示す 七―九
また數少きも、天使の糧《かて》(世の人これによりて生くれど飽《あ》くにいたらず)にむかひて疾《と》く項《うなじ》を擧《あ》げし人等よ 一〇―一二
水の面《おもて》の再び平らかならざるさきにわが船路《ふなぢ》の跡をたどりつゝ海原《うなばら》遠く船を進めよ 一三―一五
イアソンが耕人《たがやすひと》となれるをコルコに渡れる勇士《つはもの》等の見し時にもまさり
前へ 次へ
全242ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ダンテ アリギエリ の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング