l・一四八以下參照)
六四―六六
【聲】鷹匠の
【食物】獲物の一部を鷹に與ふる習ひなりきといふ
六七―六九
【環り】環行すべき處即ち第五圈、第五圈は貪婪の罪を淨むるところなり、ダンテは七大罪の分類に從ひ主としてこの罪をあげたれど浪費者も亦この圈に罰せらるゝこと地獄の場合と同じ(淨、二二・四九以下參照)
七三―七五
【わが魂は】詩篇一一九・二五。塵[#「塵」に白丸傍点]は地なり
七六―七八
ウェルギリウスの詞
【義と望み】神の正義に從つて淨めの苦しみをうくとの觀念及び時至れば天に登るを得との信仰
七九―八一
魂(ハドリアヌス)の答へ
【右を】園を右よりめぐれば兩詩人の左は山腹右は圈の外側なり
八二―八四
【かくれたる者】かく我等に答へし靈。靈皆俯むきて伏しゐたれば目にてはそれと知り難かりしも耳にて知りえたりとの意
八五―八七
かの靈と語らんとて目付にて導者に許しを請へるに導者もまた目付にて許しを與へしなり
九一―九三
【物】罪を淨むること。罪の清むるを果實の熟するにたとへしなり
【意】罪を淨むるの願ひ
九七―九九
【ペトルスの繼承者】法王(地、二・二二―四參照)。この法王は名なオットブオノ・デ・フィエースキといひコンチ・ディ・ラヴァーニアと稱するゼーノヴァの貴族の出なり、一二七六年七月選ばれて法王となりハドリアヌス五世と稱し在位三十八日にして死す
一〇〇―一〇二
【流れ】ラヴァーニア
【シェストリとキアーヴェリ】東シエストリ及びキアーヴェリはともにゼーノヴァの東にある町の名
【稱呼】川の名なとりてコンチ・ディ・ラヴァーニアといへり
一〇三―一〇五
われ法王の位にあること僅かに月餘に過ぎざりしかど、よくこの任の甚だ重きを知りえたり
【これを泥に汚さじ】法王の位を辱しめじ
一〇六―一〇八
【虚僞】世の富貴は眞の幸にあらざること
一〇九―一一一
かくの如き榮位をうるも慾心なほ飽かずまた飽かすべき地位なきを見て我は永遠の生命《いのち》眞《まこと》の幸を愛するにいたれり
一一二―一一四
【かの時】法王となれる時
一一五―一一七
【爲すところのこと】精神上に及ぼす惡結果
【苦き】忌むべきさまなる
一二一―一二六
【働】善行
【正しき主の】神の善しとみたまふまで、罪の全く清まるまで
―二七―一二九
【耳を傾け】ダンテを見る能はざれども聲近く聞ゆるによりてその跪けるをさとり
一三〇―一三二
【汝の分】地、一九・一〇〇―一〇二參照
一三三―一三五
默示録、一九・一〇參照
一三六―一三八
【また嫁せず】或問ひに答へて甦る者は嫁娶せずといへるキリストの言(マタイ、二二・三〇等)。寺院は淑女法王はその夫なり(地、一九・五五―七及び同一〇六―八註參照)、されどかゝる關係は現世にのみありて後世《ごせ》になし故に昔法王なりきとて我今何ぞ殊更に敬をうくるに足らむ
一三九―一四一
【ところのもの】即ち神に歸るにあたりて缺くべからざるところのもの(九一―三行)
一四二―一四四
【アラージヤ】ハドリアヌス五世の姪にてルーニジアーナの猛將モロエルロ・マラスピーナ(地、二四・一四五―七註參照)の妻となれるもの。古註に曰、ダンテは一三〇六年マラスピーナ家に客たりしときこの女を見かつその多くの善行を知れりと
【わが族】原、我等の家。フィエースキ一家
一四五
わが近親の中にはアラージャの外に善人なければ汝彼女に請ひてわがために天に祈らしめよ



    第二十曲

ダンテ、ウェルギリウスとともに山側に沿ひて進み清貧と慈善の例を聞く、ユーグ・カペーの靈第五圈にありてダンテとかたり己が子孫の罪業をのべかつその夜の間に誦《ず》すべき貪慾の罰の例を告ぐ、詩人等さらに前進すれば全山こゝに鳴動して頌詠の聲四方に起る
一―三
一の意[#「一の意」に白丸傍点]は法王ハドリアヌス五世となほも語らんと欲するダンテの願ひ、まさる意[#「まさる意」に白丸傍点]はダンテに妨げられずして罪を淨めんと欲する法王の願ひにあたる
四―六
【障礙なき】地に伏しゐて路の妨げとなる魂なき
七―九
【縁】第四圈に界する斷崖
一〇―一二
【牝の狼】貪婪(地、一・四九以下參照)。始祖の昔より故にありし罪(地、一・一一一參照)なれば年へし[#「年へし」に白丸傍点]といふ
一三―一五
【人或ひは】地上の事物の變遷するを諸天の運行に基因すとなす(淨、一六・六一以下參照)
【逐ふ者】獵犬(地、一・一〇〇以下參照)
一九―二四
清貧任慈の第一例、聖母マリア
【客舍】厩。聖母キリストをこゝに生みて馬槽《かひをけ》の中に臥さしむ(ルカ、二・四以下)
二五―二七
第二例、ガイウス・ファーブリキウス・ルスキヌス。紀元前二八二年ローマのコンスルとなりサンニタ人と和を議するにあたりてその賄賂を却く、ファーブリキウス死して餘財なく市民公金を以てその埋葬の費を辨ぜりといふ、ダンテの彼を賞せる詞他の著作にもいづ(『コンヴィヴィオ』四、五・一〇七以下及び『デ・モナルキア』二、五・九〇以下參照)
三一―三三
第三例、ニコラウス(ニッコロ)。聖ニコラウスはミーラ(小アジアのリキアにあり)の僧正なり、傳へ曰ふ、嘗て人あり貧困のためにその三人の女を賣らんとす、ニコラウスこれを聞きてひそかに財嚢をその家の窓より投げ入れかの女子等なして汚辱の生涯を免れしむと
三七―三九
【報酬】かの靈のために世の善人の祈りを請ふこと
四〇―四二
【慰】善人の祈り。そのこれを望まざるは子孫に善人なければなるべし
四三―四五
フランスのカペー王家(惡き木)の祖先(根)なるを告げしなり、このカペー家は一三〇〇年にフランス、ナポリ、イスパニアの諸國を治めき
四六―四八
されどフランドル人にして若し充分の力あらば速かに仇をわが子孫にむくいむ
ドアジォ、リルラ等はフランドルの主なる町の名なり、こゝにてはフランドル全體を代表す
一三〇二年クルトレイの戰ひにフランドル人大いにフランス軍を破りてこれを國外に逐ひ以てフランス王フィリップ四世の奪略に報いたり
四九―五一
【ウーゴ・チャペッタ】ユーグ・カペ―。フランスのユーグ公の子なり、九八七年ルイ五世の後を承けてフランス王となり九九六年に死す
【フィリッピとルイージ】フィリップ一世、二世、三世、四世。ルイ(ルイージ)六世、七世、八世、九世(以上一三〇〇年までにフランス王となれるもの)
五二―五四
【屠戸の子】或ひは、牛商の子。訛傳に基づく
註釋者のいふごとくダンテはユーグ・カペーとその父ユーグとを混じ、當時の俗説に從つてこれを牛商の子となせるに似たり
【昔の王達】カロリング王家の諸王。その最後の王はルイ五世(九八七年死)なり
【灰色の衣を着る者】僧となれる者。但し何人を指せるや明かならず、恐らくはダンテの記憶の誤りならむ
ルイ五世死して嗣子なく當時カロリング家に屬する者とてはたゞその叔父、ロレーヌ公のシヤルルありしのみ、されどこのシヤルルはユーグ・カペーにとらはれて獄に下され九九二年に死せり
五五―五七
五五行より六〇行に亙る二聯もユーグ父子の事蹟の相混じたる結果なるべし
【わが手に】攝政として
五八―六〇
【わが子】ユーグ・カペーの子はロべ―ル二世といひ九九六年より一〇三一年までフランス王たり、その戴冠式を行へるは九八八年即ちカペー即位の翌年なり
【寡となれる】ルイ五世の死によりて
【かの受膏の族】原、これ等の者の聖別せられし骨(即ちカペー家よりいでし前記の諸王)
六一―六三
【プロヴェンツア】一二四六年、シヤルル・ダンジューがプロヴァンスの伯《きみ》なるラモンド・ベリンギエーリの女ベアトリスを娶れるためこの地フランス王家に屬せり
六四―六六
【贖ひのために】暴逆の罪を贖はんために、嘲りの反語
【ポンティ】ポンティウ、ノルマンディー(ノルマンディア)、ガスコニー(グアスコニア)はいづれもフランス王(特にフィリップ四世)の奪へるイギリス領地
六七―六九
【カルロ】シヤルル・ダンジュー。一二六五年ナポリ王國を征服せんとてイタリアに來れり
【クルラディーノ】一二六八年とらへられてナポリに殺さる(地、二八・一三―八註參照)、時に年十六
【トムマーゾ】聖トマス・アクィナス。名高きイタリアの聖僧(天、一〇・九七―九註參照)、一二七四年リオンの宗教會議に赴かんとてナポリを出でしときシヤルル・ダンジュー己が非行の法王の前に摘發せられんことを恐れ途にて毒殺せしめきとの説による
七〇―七二
以下九三行までカペーの豫言
【他のカルロ】シヤルル・ド・ヴァロア。フランス王フィリップ四世の弟なり、法王ボニファキウス八世に招かれ平和の使命を帶びてフィレンツェに來れるも(一三〇一年)黒黨をたすけて白黨をしひたげたれば却つて甚しく市の擾亂を大ならしむ、後又シケリアを碍んとてかの地に赴けるもその志を果さず翌二年手を空しうしてフランスに歸れり
【己と】己と己が一族の罪惡を
七三―七五
【身を固めず】軍を率ゐず
【槍】裏切《うらぎり》。ジユダこの武器を用ゐてキリストを賣れり(ルカ、二二・四七―八參照)
七六―七八
【いよ/\重し】かゝる罪かゝる恥を小さしとしてその非を悔いざるによりて罪も恥もいよ/\重き報いを來す
七九―八一
【カルロ】シヤルル・ダンジューの子シヤルル二世(一二四三―一三〇九年)。一二八四年アラゴーナ王ペドロ三世の將ルージアロ・ディ・ラウリアとナポリ灣に戰ひ虜となりてシケリアに送らる、されど殺さるゝにいたらず、父の死後その王位を繼ぐ
【己が女】一三〇五年その女ベアトリスをフェルラーラの君なるエスティ家のアッツオ八世(淨、五・七六―八並びに註參照)に與へて莫大の金を得たりといふ
八二―八四
【己が肉】わが肉親の子
八五―八七
以下九〇行まではフィリップ四世の法王ボニファキウス八世をとらへしことを責む、ボニファキウスは聖者にあらずして却つて墮地獄の罪人なれどもその位貴ければこれを責むる者その道を得ざりしを以てダンテは大罪と認めしなり。フィリップ四世ボニファキウスと相敵視すること久し、僧侶課税の爭ひ及びその他の衝突あるに及びて兩者の隔離愈※[#二の字点、1−2−22]甚しく遂に一三〇三年四月フランス王の破門となり、フランス王はこれに對して法王の廢位を圖り同年九月グィリエルモ・ディ・ノガレット及びシアラ・デルラ・コロンナをして法王をその郷里アナーニ(即ちアラーニア)にとらへしむ
【小さく】わが子孫の過去未來における一切の罪業も法王虐待の一事に比ぶれば小さしとみゆべし
【百合の花】フランス王家の旗章
【代理者】法王。法王は地上におけるキリストの代表者なり
八八―九〇
【嘲り】昔の嘲り(マタイ、二七・三九以下等)をこの時ボニファキウスの身にて再びうけたまふ
【酷と膽】聖書の語(マタイ、二七・三四)を借りてボニファキウスの苦しみをいひあらはせるなり
【生ける盜人】二人の盜人キリストと共に磔殺せられし古事(マタイ、二七・三八及び四四)に基づき、かのボニファキウスを嘲りし前記ノガレット及びシアラの二人を指す
この二者は自ら苦しみをうけしにあらず、また殺されしにも何等の害を被りしにもあらず、彼と此と異なるところこゝにあり、しかしてこの差別を適確にあらはせるもの即ちvivi(生ける)の一語なり、さればこの形容詞は當時の光景に一の新しき色彩を施すものといふべし(ムーア)
法王は獄にあること三日にしてローマに歸るをえたれどもかゝる汚辱の痛苦に堪へかね遂に病を得て薨ず(一三〇三年十月)
九一―九三
【第二のピラート】フィリップ四世。キリストを敵手に渡せしポンテオ・ピラト(ルカ、二三・二四―五)に似たれば斯く
【殿の中】フィリップ四世がテムプル騎士團(もとソロモン王の宮殿ありし處にその本部を置きたるをもてこの名あり)を迫害してその富を私せるをいふ(一三〇七年以降)。法によらずして[#「法によらずして」に白丸傍点]といへるは騎士等の正不正を分明に審理せずしての意
九四―九六
【うるはしうする】人の怒りの如く直ちに激發することなく、しづかに時の至るな待つをいふ
九七―九九
【新婦】處
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