なほ未だ多からざりき 六七―六九
はてしなく濶《ひろ》き天涯未だ擧《こぞ》りて一の色とならず、夜その闇をことごとく頒ち與へざるまに 七〇―七二
我等各一の段《きだ》を床となしぬ、そはこの山の性《さが》、登るの願ひよりもその力を我等より奪へばなり 七三―七五
食物《くひもの》をえざるさきには峰の上に馳せ狂へる山羊も、日のいと熱き間蔭にやすみて聲をもいださず 七六―
その牧者(彼杖にもたれ、もたれつゝその群《むれ》を牧《か》ふ)にまもられておとなしく倒嚼《にれが》むことあり ―八一
また外《そと》に宿る牧人、そのしづかなる群のあたりに夜を過《すご》して、野の獸のこれを散らすを防ぐことあり 八二―八四
我等みたりもまたみな斯《かく》の如くなりき、我は山羊に彼等は牧者に似たり、しかして高き岩左右より我等をかこめり 八五―八七
外《そと》はたゞ少しく見ゆるのみなりしかど、我はこの少許《すこし》の處に、常よりも燦《あざや》かにしてかつ大なる星を見き 八八―九〇
我かく倒嚼《にれが》み、かく星をながめつゝ睡りに襲はる、即ち事をそのいまだ出來《いでこ》ぬさきにに屡※[#二の字点、1−2−22]告知らす
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