O三・一二七以下)といひて善行を想起せしむる力を有す
一三〇―一三二
【まづ味はれ】人まづこの二の河水を味はざればその功徳をうけて天に登ることあたはず、即ち人罪を忘れ徳を憶ふにあらざれば不朽の福を享くるあたはず
一三九―一四一
【人々】黄金時代をうたへる詩人等、特にオウィディウスを指す(『メタモルフォセス』一・八九以下參照)
【パルナーゾ】パルナッソス、詩神の山(淨、二二・六四―六參照)。パルナッソスの夢は詩人の想像を指す
一四二―一四四
【人】原文、人の根。即ち始祖アダム、エヴァ未だ罪を犯さずして樂園に住めるをいふ
オウィディウス曰。この頃(黄金時代)人|律法《おきて》によらず、自ら求めて信と正義を行へり
【春】オウィディウス曰。こゝにとこしへの春ありき……地は耕さずして諸※[#二の字点、1−2−22]の實《み》を生じたり
【ネッタレ】神々の飮料
オウィディウス曰。この時乳の川、ネッタレの川流る


    第二十九曲

ダンテ對岸のムテルダとともに流れに溯りてすゝみ、寺院の勝利を象《かた》どれる一の奇《く》しき行列を見る
一―三
【罪を】咎をゆるされ罪をおほはるゝ者は福なり(詩篇、三二・一)
四―六
【ニンファ】ニムフ、山川林野等に住む一種の女神。林の木蔭を歩むをもてその習ひとなせし傳説中のニムフの如く行歩しとやかに優なるをいへり
七―九
【さかのぼりて】右即ち南方に
一〇―一二
【岸】レーテの兩岸ともに左にまがれるなり
一九―二一
【現はるゝごとく】忽ち現はれ忽ち消ゆ
二二―二四
【エーヴァ】エヴァ、蛇に誘はれて禁斷の木の實をくらひしため夫アダムと共に樂園を逐はる(淨、八・九七―九參照)
二五―二七
【被物】服從。或ひは曰、無智と(創世記、三・五―六參照)
二八―三〇
エヴァ禁斷の果を食はざりせば樂園ながく人類の住む處となりて我もわが生れし日より死ぬる日にいたるまでかゝる福をうくるをえしものを
三一―三三
【樂しみの初穗】天上無窮の福を果實にたとふれば地上の樂園の美觀はその初物《はつもの》にあたる
【いよ/\大いなる喜び】ベアトリーチェにあふこと(淨、六・四六―八及び二七・一三六―八參照)
三七―四二
詩神ムーサ(ムーゼ)を呼びてその助けを乞へり
【處女等】ムーサ
【汝等のために】詩を愛するあまりに
【エリコナ】ボイオティア(希)の山にてムーサのとゞまるところ。アガニッペ及びヒッポクレネの泉ありて詩神等にさゝげらる
【ウラーニア】ムーサの一にて天の事を司る
四六―四八
類似の物遠距離にあるときはその差別を沒するがゆゑに視覺を欺きて燭臺をも黄金の木と思はしむれど近距離にあるときは個々の差別性を現はすがゆゑにしかすることなし
四九―五一
【力】認識の力
【オザンナ】(救ひたまへの義)神を讚美する詞(マタイ、二一・九等)
五二―五四
燭臺のこと默示録による、七の燈は神の七の靈なり(默示録、四・五)、聖靈の七の賜これよりいづ(七三行以下參照)
五五―五七
靈界の奧義は理性(ウェルギリウス)の解し能はざるところなるをいへり(淨、二七・一二七―九參照)
六四―六六
【民】二十四人の長老(八二―四行)
七三―七五
【流るゝ小旗】tratti pennelli 七の燭臺の光その餘光を空に殘して七色の線を現出せるさまあたかも細長き七の旗のごとし
或ひはこれを「運ぶ繪筆」と解する人あり
七六―七八
【日の弓】虹
【デリア】アルテミス、又はディアナ(月)の異名、その帶は月暈
七色の線は聖靈の七の賜即ち智慧、聰明、謀略、剛氣、知識、敬虔、及び敬畏をあらはす(『コンヴィヴィオ』四、二一・一〇五以下參照)
八二―八四
【二十四人の長老】默示録(四・四)に曰、寶座の上には二十四人の長老白き衣を着、頭に黄金の冠を戴きて坐せりと。二十四人の長老は舊約全書二十四卷を代表す、但しその分類につきては註釋者の説一ならず
【百合の花】その教義の醇なるをあらはす
八五―八七
【アダモの女子】女。天使ガブリエル及びエリザベツが聖母マリアを祝して、汝は女の中の福なる者なりといへることルカ傳に見ゆ(一・二八及び四二)、かの長老等また聖母を祝してかくうたひ且つその美をほめたゝへしなり
九一―九三
【光光に】一の星他の星に從つて動くがごとく
【四の生物】新約全書中の四福音書を代表す、縁葉の冠は希望をあらはす
九四―九六
【翼】六の翼は福音の世に傳播することはやきを表はし多くの目は福音の眞理のよく一切の事物を洞察するをあらはす。但し異説多し
【アルゴ】アルゴス。神話、ヘラの命によりてイノ(ゼウス神の慕へるニムフ)を守れる者、頭に百の眼あり、この者ヘルメスに殺されし後ヘラその眼をとりて孔雀の尾の飾となせり(『メタモルフォセス』一・五六八以下)
【生命あらば】孔雀の尾の球斑は死せる
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