y己が肉】わが肉親の子
八五―八七
以下九〇行まではフィリップ四世の法王ボニファキウス八世をとらへしことを責む、ボニファキウスは聖者にあらずして却つて墮地獄の罪人なれどもその位貴ければこれを責むる者その道を得ざりしを以てダンテは大罪と認めしなり。フィリップ四世ボニファキウスと相敵視すること久し、僧侶課税の爭ひ及びその他の衝突あるに及びて兩者の隔離愈※[#二の字点、1−2−22]甚しく遂に一三〇三年四月フランス王の破門となり、フランス王はこれに對して法王の廢位を圖り同年九月グィリエルモ・ディ・ノガレット及びシアラ・デルラ・コロンナをして法王をその郷里アナーニ(即ちアラーニア)にとらへしむ
【小さく】わが子孫の過去未來における一切の罪業も法王虐待の一事に比ぶれば小さしとみゆべし
【百合の花】フランス王家の旗章
【代理者】法王。法王は地上におけるキリストの代表者なり
八八―九〇
【嘲り】昔の嘲り(マタイ、二七・三九以下等)をこの時ボニファキウスの身にて再びうけたまふ
【酷と膽】聖書の語(マタイ、二七・三四)を借りてボニファキウスの苦しみをいひあらはせるなり
【生ける盜人】二人の盜人キリストと共に磔殺せられし古事(マタイ、二七・三八及び四四)に基づき、かのボニファキウスを嘲りし前記ノガレット及びシアラの二人を指す
この二者は自ら苦しみをうけしにあらず、また殺されしにも何等の害を被りしにもあらず、彼と此と異なるところこゝにあり、しかしてこの差別を適確にあらはせるもの即ちvivi(生ける)の一語なり、さればこの形容詞は當時の光景に一の新しき色彩を施すものといふべし(ムーア)
法王は獄にあること三日にしてローマに歸るをえたれどもかゝる汚辱の痛苦に堪へかね遂に病を得て薨ず(一三〇三年十月)
九一―九三
【第二のピラート】フィリップ四世。キリストを敵手に渡せしポンテオ・ピラト(ルカ、二三・二四―五)に似たれば斯く
【殿の中】フィリップ四世がテムプル騎士團(もとソロモン王の宮殿ありし處にその本部を置きたるをもてこの名あり)を迫害してその富を私せるをいふ(一三〇七年以降)。法によらずして[#「法によらずして」に白丸傍点]といへるは騎士等の正不正を分明に審理せずしての意
九四―九六
【うるはしうする】人の怒りの如く直ちに激發することなく、しづかに時の至るな待つをいふ
九七―九九
【新婦】處
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