しめ 五二―五四
我等は悔いつゝ赦しつゝ、神即ち彼を見るの願ひをもて我等の心をはげますものと和《やは》らぎて世を去れるなり。 五五―五七
我。われよく汝等の顏をみれども、一だにしれるはなし、されど汝等の心に適《かな》ひわが爲すをうる事あらば、良日《よきひ》の下《もと》に生れし靈よ 五八―六〇
汝等いへ、さらば我は、かゝる導者にしたがひて世より世にわが求めゆく平和を指してこれをなすべし。 六一―六三
一者《ひとり》曰ふ。汝誓はずとも我等みな汝の助けを疑はず、もし力及ばざるため意斷たるることなくば 六四―六六
この故に我まづひとりいひいでて汝に請ふ、汝ローマニアとカルロの國の間の國をみるをえば 六七―六九
汝の厚き志により、わがためにファーノの人々に請ひてよき祈りをささげしめ、我をしてわが重き罪を淨むるをえしめよ 七〇―七二
我はかしこの者なりき、されど我の宿れる血の流れいでし重傷《ふかで》をばわれアンテノリの懷《ふところ》に負へり 七三―七五
こはわがいと安全《やすらか》なるべしとおもへる處なりしを、エスティの者、正義の求むる範圍《かぎり》を超えて我を怨みこの事あるにいたれるなり 七六―七八
されどオリアーコにて追ひ及《し》かるゝとき、若しはやくラ・ミーラの方《かた》に逃げたらんには、我は息通《いきかよ》ふかなたに今もありしなるべし 七九―八一
われ澤に走りゆき、葦《あし》と泥《ひぢ》とにからまりて倒れ、こゝにわが血筋《ちすぢ》の地上につくれる湖《うみ》を見ぬ。 八二―八四
この時また一者《ひとり》いふ。あゝねがはくは汝を引きてこの高山《たかやま》に來らしむる汝の願ひ成就せんことを、汝善き憐《あはれみ》をもてわが願ひをたすけよ 八五―八七
我はモンテフェルトロの者なりき我はボンコンテなり、ジヨヴァンナも誰もわが事を思はず、此故にわれ顏を垂れて此等の者と倶に行く。 八八―九〇
我彼に。汝の墓の知られざるまで、カムパルディーノより汝を遠く離れしめしは、そも/\何の力何の運ぞや。 九一―九三
彼答ふらく。あゝカセンティーノの麓に、横さまに流るゝ水あり、隱家《かくれが》の上なるアペンニノより出で、名をアルキアーノといふ 九四―九六
われ喉を刺されし後、徒《かち》にて逃げつゝ野を血に染めて、かの流れの名消ゆる處に着けり 九七―九九
わが目こゝに見えずなりぬ、わが終焉《をはり》の
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