。 一四五―一四七
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   第四曲

心の作用《はたらき》の一部喜びまたは憂ひを感ずる深ければ、魂こと/″\こゝにあつまり 一―三
また他の能力《ちから》をかへりみることなしとみゆ、知るべし、我等の内部《うち》に燃ゆる魂、一のみならじと思ふは即ち誤りなることを 四―六
この故に聞くこと見るもの、つよく魂をひきよすれば、人時の過ぐるを知らず 七―九
そは耳をとゞむる能力《ちから》は魂を全く占《し》むる能力《ちから》と異なる、後者はその状《さま》繋《つな》がるゝに等しく前者には紲《きづな》なし 一〇―一二
我かの靈のいふところをきき且つはおどろきてしたしくこの事の眞《まこと》なるをさとれり、そは我等かの魂等が我等にむかひ 一三―
聲をあはせて、汝等の尋ぬるものこゝにありと叫べる處にいたれる時、日はわがしらざる間に裕《ゆたか》に五十を上《のぼ》りたればなり ―一八
葡萄黒むころ、たゞ一|束《たば》の茨《いばら》をもて、村人《むらびと》の圍《かこ》ふ孔《あな》といふとも、かの群《むれ》我等をはなれし後 一九―
導者さきに我あとにたゞふたり登りゆきし徑路《こみち》よりは間々《まま》大いなるべし ―二四
サンレオにゆき、ノーリにくだり、ビスマントヴァを登りてその頂にいたるにもただ足あれば足る、されどこゝにては飛ばざるをえずと 二五―二七
即ち我に望みを與へ、わが光となりし導者にしたがひ、疾き翼深き願ひの羽を用ゐて 二八―三〇
我等は碎けし岩の間を登れり、崖《がけ》左右より我等に迫り、下なる地は手と足の助けを求めき 三一―三三
我等高き陵《をか》の上縁《うはべり》、山の腰のひらけしところにいたれるとき、我いふ。わが師よ、我等いづれの路をえらばむ。 三四―三六
彼我に。汝一歩をも枉ぐるなかれ、さとき嚮導《しるべ》の我等にあらはるゝことあるまで、たえず我に從ひて山を登れ。 三七―三九
巓《いただき》は高くして視力及ばず、また山腹は象限《しやうげん》の中央《なかば》の線《すぢ》よりはるかに急なり 四〇―四二
我疲れて曰ふ。あゝやさしき父よ、ふりかへりて我を見よ、汝若しとゞまらずば、我ひとりあとに殘るにいたらむ。 四三―四五
わが子よ、身をこの處まで曳き來れ。彼は少しく上方《うへ》にあたりて山のこなたをことごとくめぐれる一の高臺《パルツオ》を指示しつゝかくいへり 四六―四
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