る火の中にかくれぬ 一四八―一五〇
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   第二十七曲

今や日はその造主《つくりぬし》血を流したまへるところに最初《はじめ》の光をそゝぐ時(イベロは高き天秤《はかり》の下にあり 一―
ガンジェの浪は亭午《まひる》に燒かる)とその位置を同じうし、晝既に去らんとす、この時喜べる神の使者《つかひ》我等の前に現はれぬ ―六
彼焔の外《そと》岸の上に立ちて、心の清き者は福なり[#「心の清き者は福なり」に白丸傍点]とうたふ、その聲|爽《さわや》かにしてはるかにこの世のものにまされり 七―九
我等近づけるとき彼曰ひけるは。聖なる魂等よ、まづ火に噛まれざればこゝよりさきに行くをえず 一〇―
汝等この中に入りまたかなたにうたふ歌に耳を傾けよ。かくいふを聞きしとき我はあたかも穴に埋《いけ》らるゝ人の如くになりき ―一五
手を組合《くみあは》せつゝ身をその上より前に伸べて火をながむれば、わが嘗て見し、人の體《からだ》の燒かるゝありさま、あざやかに心に浮びぬ 一六―一八
善き導者等わが方にむかへり、かくてヴィルジリオ我に曰ふ。我子よ、こゝにては苛責はあらむ死はあらじ 一九―二一
憶《おも》へ、憶へ……ジェーリオンに乘れる時さへ我汝を安らかに導けるに、神にいよいよ近き今、しかするをえざることあらんや 二二―二四
汝かたく信ずべし、たとひこの焔の腹の中に千年《ちとせ》の長き間立つとも汝は一|筋《すぢ》の髮をも失はじ 二五―二七
若しわが言《ことば》の僞なるを疑はば、焔にちかづき、己が手に己が衣の裾をとりてみづからこれを試みよ 二八―三〇
いざ棄てよ、一切の恐れを棄てよ、かなたにむかひて心安く進みゆくべし。かくいへるも我なほ動かずわが良心に從はざりき 三一―三三
わがなほ頑《かたくな》にして動かざるをみて彼少しく心をなやまし、子よ、ベアトリーチェと汝の間にこの壁あるを見よといふ 三四―三六
桑|眞紅《しんく》となりしとき、死に臨めるピラーモがティスベの名を聞き目を開きてつらつら彼を見しごとく 三七―三九
わが思ひの中にたえず湧《わ》き出づる名を聞くや、わが固き心やはらぎ、我は智《さと》き導者にむかへり 四〇―四二
是に於てか彼|首《かうべ》を振りて、我等|此方《こなた》に止まるべきや如何《いかに》といひ、恰も一の果實《このみ》に負くる稚兒《をさなご》にむかふ人の如くにほゝゑみぬ
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