の路あるを知りき 八二―八四
閾を人のこゆるに任《まか》す門より内に入りしこのかた、凡てわが汝に示せるものゝうちすべての焔をその上に消すこの流れの如くいちじるしきは汝の目未だ見ず 八五―八七
これわが導者の言なりき、我乃ち彼に請ひ、慾を我に惜しまざりし彼の、食をも惜しむなからんことを求めぬ 九一―九三
この時彼曰ふ、海の正中《たゞなか》に荒れたる國あり、クレータと名づく、こゝの王の治世の下《もと》、世はそのかみ清かりき 九四―九六
かしこにそのかみ水と木葉《このは》の幸《さち》ありし山あり、イーダと呼ばる、今は荒廢《あれすた》れていと舊《ふ》りたるものゝごとし 九七―九九
そのかみレーアこれをえらびてその子の恃《たのみ》の搖籃となし、その泣く時特に善くかくさんためかしこに叫びあらしめき 一〇〇―一〇二
この山の中には一人《ひとり》の老巨人の直立するあり、背をダーミアータにむけ、ローマを見ること己が鏡にむかふに似たり 一〇三―一〇五
その頭は純金より成り、腕と胸とは純銀なり、そこより跨《また》にいたるまでは銅 一〇六―一〇八
またその下はすべて精鐡なれどもたゞ右足のみは燒土にてしかも彼の
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