も汝にあらざるか 三四―三六
いま木と變れども我等は人なりき、またたとひ蛇の魂なりきとも汝の手にいま少しの慈悲はあるべきを 三七―三九
たとへば生木《なまき》の一端《かたはし》燃え、一端よりは雫《しづく》おち風聲を成してにげさるごとく 四〇―四二
詞と血と共に折れたる枝より出でにき、されば我は尖《さき》を落して恐るゝ人の如くに立てり 四三―四五
わが聖《ひじり》答へて曰ひけるは、しひたげられし魂よ、彼若しわが詩の中にのみ見しことを始めより信じえたりしならんには 四六―四八
汝にむかひて手を伸ぶることなかりしなるべし、たゞ事信じ難きによりて我彼にすすめてこの行あらしむ、わが心これが爲に苦し 四九―五一
されど汝の誰なりしやを彼に告げよ、さらば彼汝の名を上の世に(彼かしこに歸るを許さる)新にし、これを贖《あがなひ》のよすがとなさん 五二―五四
幹、かゝる麗しき言《ことば》にさそはれ、われ口を噤み難し、願はくは心ひかるゝまゝにわが少しく語らん事の汝に累となるなからんことを 五五―五七
我はフェデリーゴの心の鑰《かぎ》を二ながら持てる者なりき、我これをめぐらして或ひは閉ぢ或ひは開きその術《わざ
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