我は彼が先《さき》と異なれることを後《あと》にいひ、これをもてその始めを蔽へるさまをさだかに知れり 一〇―一二
彼かくなせるもそのいふ事なほ我を怖《おぢ》しめき、こはわが彼の續かざる言《ことば》に彼の思ひゐたるよりなほ惡き意義を含ませし故にやありけん 一三―一五
罰はたゞ望みを絶たれしのみなる第一の獄《ひとや》より悲しみの坎《あな》かく深くくだるものあることありや 一六―一八
われこの問を起せるに彼答へて曰ひけるは、我等の中にはかゝる旅路につくものあることまれなり 一九―二一
されどまことは我一たびこゝに降れることあり、こは魂等を呼びてその體《からだ》にかへらしめし酷《むご》きエリトンの妖術によれり 二二―二四
わが肉我を離れて後|少時《しばし》、ジュダの獄より一の靈をとりいださんため彼我をこの圍《かこひ》の中に入らしめき 二五―二七
この獄はいと低くいと暗く萬物を廻らす天を距ることいと遠し、我善く路をしる、この故に心を安んぜよ 二八―三〇
はげしき惡臭《をしう》を放つこれなる沼は、我等がいま怒りをみずして入るをえざる憂ひの都をかこみめぐる 三一―三三
このほかなほいへることありしも我
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