九―五一
かれ我に、汝空しき思ひを懷けり、彼等を汚せる辨別《わきまへ》なき生命《いのち》はいまかれらを昧《くらま》し、何者もかれらをわきまへがたし 五二―五四
かれら限りなくこの二の牴觸をみん、此等は手を閉ぢ、これらは髮を短くして墓よりふたゝび起きいづべし 五五―五七
あしく費しあしく貯へしことは美しき世をかれらより奪ひ、かれらにこの爭ひあらしむ、われこゝに言《ことば》を飾りてそのさまをいはじ 五八―六〇
子よ、汝いま知りぬらん、命運に委ねられ、人みなの亂《みだれ》の本なる世の富貴のただ苟且《かりそめ》の戲《たはぶれ》を 六一―六三
そは月の下に今ありまた昔ありし黄金《こがね》こと/″\く集まるともこれらよわれる魂の一にだに休みをえさすることはよくせじ 六四―六六
我彼に曰ふ、師よ、さらにいま我に告げよ、汝謂ふ所の命運とはこれいかなるものにて斯く世の富貴をその手の裡にをさむるや 六七―六九
彼我に、あゝ愚《おろか》なる人々よ、汝等を躓かすは何等の無智ぞや、いざ汝この事についてわがいふところのことを含め 七〇―七二
夫れその智萬物に超ゆるもの諸天を造りてこれに司るものを與へたまへり、かく
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