進み次第に我を日の默《もだ》す處におしかへしたればなり 五八―六〇
われ低地をのぞみて下れる間に、久しく默せるためその聲嗄れしとおもはるゝ者わが目の前にあらはれぬ 六一―六三
われかの大いなる荒野の中に彼をみしとき、叫びてかれにいひけるは、汝魂か眞《まこと》の人か何にてもあれ我を憐れめ 六四―六六
彼答へて我にいふ、人にあらず、人なりしことあり、わが父母《ちゝはゝ》はロムバルディアの者|郷土《ふるさと》をいへば共にマントヴァ人《びと》なりき 六七―六九
我は時後れてユーリオの世に生れ、似非《えせ》虚僞《いつはり》の神々の昔、善きアウグストの下《もと》にローマに住めり 七〇―七二
我は詩人にて驕れるイーリオンの燒けし後トロイアより來れるアンキーゼの義しき子のことをうたへり 七三―七五
されど汝はいかなればかく多くの苦しみにかへるや、いかなればあらゆる喜びの始めまた源《もと》なる幸の山に登らざる 七六―七八
われ面《おもて》に恥を帶び答へて彼にいひけるは、されば汝はかのヴィルジリオ言葉《ことのは》のひろき流れをそゝぎいだせる泉なりや 七九―八一
あゝすべての詩人の譽《ほまれ》また光よ、願は
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