が指を上げて頤《おとがひ》と鼻の間におきぬ 四三―四五
讀者よ、汝いまわがいふことをたやすく信じえずともあやしむにたらず、まのあたりみし我すらもなほうけいるゝこと難ければ 四六―四八
我彼等にむかひて眉をあげゐたるに、六の足ある一匹の蛇そのひとりの前に飛びゆきてひたと之にからみたり 四九―五一
中足《なかあし》をもて腹を卷き前足をもて腕をとらへ、またかなたこなたの頬を噛み 五二―五四
後足《あとあし》を股《もゝ》に張り、尾をその間《あひ》より後方《うしろ》におくり、ひきあげて腰のあたりに延べぬ 五五―五七
木に絡《から》む蔦《つた》といへどもかの者の身に纏《まつ》はれる恐ろしき獸のさまにくらぶれば何ぞ及ばん 五八―六〇
かくて彼等は熱をうけし蝋のごとく着きてその色を交《まじ》へ、彼も此も今は始めのものにあらず 六一―六三
さながら黯《くろず》みてしかも黒ならぬ色の炎にさきだちて紙をつたはり、白は消えうするごとくなりき 六四―六六
殘りの二者《ふたり》之を見て齊しくさけびて、あゝアーニエルよ、かくも變るか、見よ汝ははや二《ふたつ》にも一にもあらずといふ 六七―六九
二の頭既に一となれる時
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