閨Aファーエンヅァのグエルフィ黨を統ぶ、その血族マンフレディ(弟なりとの説あり)及びマンフレディの子アルベルゲットと權勢を爭ひ、ひそかに彼等を害せんとはかり言を和親に托して宴に招き食終れる時果物を持來れといふ、この時忍びの者共この詞を相圖に座席に入來りて父子を殺せり(一二八五年)
【よからぬ園の】客人を賣る相圖に用ゐたれば罪の園に生ぜる果といへり
【無花果に代へ】罪業相當の刑罰をうく
一二一―一二三
【しらず】地、一〇・一〇三―五參照
一二四―一二六
【トロメア】第三園、賓客の信に背ける者の罰せらるゝところ、ジエリコの首長トロメオの名をとれるなり、このトロメオはおのが岳父にして祭司長なるシモネ・マッカベオ及びその二子をわが城内に招き酒を飮ましめて後殺せり(マッカベエイ前、一六・一一―六)
【アトローポス】運命を司る神の一にていのちの絲を斷ち切るもの
その人未だ死なざるに魂まづトロメアにくだりて罰をうくることありとの意なり、之に關し註釋者曰、ダンテは詩篇五五・一五に、願はくは彼等生けるまゝにてシエオルに下らんことをといへるにもとづきこの種の刑罰に思ひいたれるなるべしと
一三三―一三五
【おのれは】魂自らは地獄の底に落つ
一三六―一三八
【セル・ブランカ・ドーリア】ジエーノヴァの名族ドーリア家の者にてミケーレ・ツァンケ(一四〇行)の婿なり、一二九〇年の頃、(或ひは七五年の頃ともいふ)サールディニア島のロゴドロ州(地、二二・八八―九〇及び註參照)を奪はんため舅を招きて會食し欺いてこれを己が城内に殺せり
一四二―一四四
【マーレブランケの濠】第八の地獄第五嚢、汚吏の罰せらるゝところ
一四五―一四七
異本、この者己が身と……その近親のひとりの身に鬼を殘せり
一四八―一五〇
【暴】約を履まざりし事
一五四―一五七
【ローマニアの魂】アルペリーゴ(一一八行)、その郷里ファーエンヅァはローマニアにあり
【ひとり】ブランカ・ドーリア
第三十四曲
ダンテ、ウェルギリウスと第九の地獄第四の圓にいたりこゝに恩人を賣れるものゝ魂を見、後その中央にあらはれし地獄の王ルキフェル(ルチーフェロ)に近づきその毛にすがりて地心を過ぎさらに一條の幽路をたどりて外界にむかふ
一―三
Vexilla Regis prodeunt inferni(地獄の王の旗進む)、この中初めの三語はフォルツナート・ヂ・チエーネダー(イタリアの生れにてフランス、ポアチエの僧正となれり)の作なるキリスト磔刑の聖歌の始めをとれるなり、この歌今も寺院の一部に用ゐらるといふ、地獄の王はルキフェル、旗はその翼なり
七―九
【風】五〇―五一行參照
一三―一五
四種の罪人、註釋者曰、恩人を賣れる罪人の中、伏したるは己と同等の地位にあるもの、直立せるは己より地位低きもの、倒立せるは同じく高きものを賣り、弓形をなすは高きと低きと二種の恩人を賣れる者なりと
一六―一八
【昔姿美】魔王が未だ天を逐はれざりしさきには天使中その姿特に美しく尊かりしと信ぜられたればなり(淨、一二・二五―六參照)
一九―二一
【ディーテ】魔王の名として用ゐられしこと『アエネイス』に例多し
二五―二七
【彼をも此をも】死をも生をも
三四―三六
特殊の神恩によりてその美しき事萬の天使にもまされる程なるになほその造主に背けりといへば今一切の禍ひの本となるもあやしむにたらず
三七―三九
【三の顏】寓意のあるところあきらかならず、註釋者曰、これ地、三・五―六なる三一の神の對照なり即ち權威智慧愛の三に對し無力無智憎惡の三を示せるものにて無力は黄無智は黒憎惡は赤を以てあらはすと
四〇―四二
【※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]冠あるところ】頭の頂、四七行に鳥といへると同じく翼あるに因みてなり
四三―四五
【ニーロ】エジプトのナイル川、南方エチオピアよりいづ
【人々】エチオピアの黒人
四九―五一
【羽なく】當時の説によれるなり。
五二―五四
【コチート】地、一四・一一八―二〇參照
五五―五七
【碎麻機】maciulla 二個の木片うちあひて麻を碎き莖と絲とをわかつ機具
六一―六三
【ジユダ・スカリオット】イスカリオテのユダ、キリスト十二弟子の一、師を賣りて銀三十をえ後悔いて縊る(マタイ、二六・一四以下及び二七の三以下等)
六四―六六
【プルート】マルクス・ユウニウス・ブルートゥス(前八五―四二年)、カエサル殺害者の一人
六七―六九
【カッシオ】カイウス・カッシウス・ロンギーヌス(前四二年死)ブルートゥスと共にカエサルを殺害せるもの、或人曰く、ダンテがカッシウスを肉逞しきものとせるはキケロがルキウス・カッシウスを肥えたりといへるに基づきルキウスを、カイウスと誤り混じたるによると
ダンテの所謂理想的國家には二個の重要なる機關あり
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