uオソ、プッチオ、チヤンファ、カヴァルカンティ
七―一二
【曙の夢】オウィディウス、ホラティウス等の著作に見ゆる如く古、早朝に結ぶ夢を正夢とをせり
地、三三のウゴリーノの夢、淨火に結べるダンテの夢等參照、ダンテはフィレンツェの災害を曙の夢に見たる如くしるせるなり
【プラート】プラート(ピストイアとフィレンツェの間にある町)がフィレンツェの不幸を希ふ理由に關し一説には、この町フィレンツェに從屬してしかもその統治に快からざりしによるといひ一説にはこれ一三〇四年プラートのカルディナレなるニッコロが時の法王ベネデクト十一世の命をうけてフィレンツェに赴き市の平和をはかれるも事成らず遂に神と寺院の詛ひを市民にあびせてこゝを去るに至れるを指せりといふ、恐らくは後説正しからむ
註釋者又曰、フィレンツェの禍ひとは白黨の追放及びフィレンツェの大火(一三〇四年)等を指せるなりと
【我年】老いて郷土の禍ひを見んはいよ/\心苦し
一三―一五
【さきに】地、二四・七九―八〇
一九―二一
【悲しめり】第八嚢の罪人等世にまれなる才を天よりうけてしかも善用せずかくはかなき罰を蒙るにいたれるを悲しめるなり
二二―二四
【星】善き星は幸運なり(地、一五・ゝ五五―七參照)
【星より善きもの】神の恩寵
【寶】天才、之を棄つるは善用せずしてその特權を失ふなり
二五―二七
日最も長き時乃ち夏
三四―三六
【仇をむくいしもの】豫言者エリシヤ、兒童の一群に嘲られて怒り林中より二匹の熊を出してその四十二人を裂かしむ(列王紀略下二・二三・四)
【エリアの兵車】豫言者エリア、エリシヤの目の前にて昇天す(列王紀略下二・一一―一二)、その時炎につゝまれて姿見えざりしを罪人の炎の中にかくるゝにたとへしなり
四〇―四二
【喉】狹き底
【盜みて】罪人を中にかくして少しも外にあらはすことなきをいふ
註釋者曰、炎の罰はヤコブ、三・六に、舌は火なりとあるによれりと
四九―五四
【エテオクレ】エテオクレス(地、一四・六七―七二註參照)七王の役徒に久しきに亙れるよりエテオクレスとポリュネイケス一騎打をもて兩軍の勝敗を定むることとし戰ひて共に斃れぬ、人々その骸をあつめて共に荼毘に附せしに立登る焔二に分れたりといふ
五五―五七
【ウリッセ、ディオメーデ】オデュセウス・ディオメデス共にホメロスの詩にうたはれて名高きギリシアの英雄
【怒り】トロイア人に對する怒り
五八―六〇
包圍十年に亙りてトロイアの城未だ落ちざりければギリシア軍オデュセウスの謀により山の如く巨大なる一の木馬を作りてその中に多くの勇士をひそましめ自餘の士卒は悉く海に浮びて附近の島影にかくれ恰も事の成らざるをしりて全軍本國に引返すものゝ如く裝ひまた殘せる木馬はアテナへの捧物なりとのことを敵地に流布せしむ、トロイア軍欺かれてこれを城内にひきいる、夜に入りてその中なる將士一齊にあらはれいで城門を内よりひらき既に城外に待ちゐたるギリシア軍を迎へ火を放つて城を燒きトロイアこゝに陷落す(『アエネイス』二・一三以下)
【門を作り】木馬城に入りアエネアス、城より出でしを門を作るといへるなり
【祖先】アエネアス(地、二・二〇―二一參照)、木馬のために城陷りて後イタリアにゆけり
六一―六三
【デイダーミア】ディダメイア。スキュロス島の王リコメデスの女
アキレウスの母テチスわが子がギリシア軍に加はりてトロイアに赴く事あらんを恐れこれを女裝せしめてリコメデスに托し置きたりしにオデュセウス商人に姿を變へディオメデスと共にスキュロスにわたり武器を示してアキレウスを試み遂に誘ひてトロイアに向はしむ、この時すでにひとりの子の母なりしデイダメイアは別離の悲しみに堪へかねてために世を早うするにいたれり
【パルラーディオ】トロイア城内に安置せられしパルラス(アテナ)の像、この像城内にある間は城安全なりと信ぜられければオデュセウス、ディオメデスと變裝して忍び入りこれを盜みてギリシアの陣に送れり
六七―六九
【身を】四三―五行參照
七三―七五
【ギリシア人】異説多し
ダンテは本國イタリアの人とかたるを例とするにギリシアは國異なる上その文物に關する詩人の知識悉く間接にて從つて充分ならざるをいへるなるべし
七九―八四
【心に適ひ】『アエネイス』に殘りてその名不朽に垂るゝをいへり
【いづこに】ホメロスの『オデュセイア』にうたはれしオデュセウスは百難を免かれ再び故國イタカに歸りてペネローペの貞操に報いたり、されど當時これと異なる傳説あり、この説によればオデュセウスは大西洋上の航海を企て勇敢なる士卒若干とまづポルトガルに赴きてこゝにリスボン市の基を起し、それよりアフリカの西にあたる海をゆき遂に暴風に遭つて死せりといふ、さればダンテは後の傳説にもとづきこれに自己の創意を如へて一の新しき物語を作れ
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